グーグルのマインドフルネス本『サーチ・インサイド・ユアセルフ』以下、SIY。
前回の記事からの続きです。
今回は本書でいう2章の終わりの部分にあたり、マインドフルネス瞑想のフォーマルな実践法を紹介していきます。
単純にいうと、記事05で触れた「やさしい手法」および「もっとやさしい手法」の2分間を、さらに延長させる要領です。
隙のないリラックスできる姿勢で座り、10分ほど瞑想の練習をしましょう。
ただし、どんな姿勢が「隙のないリラックスした状態」なのかは人それぞれです。
瞑想の練習法
自分にとってしっくりくる姿勢を保ち、まずは3回深呼吸をしましょう。
その後は自然な呼吸にまかせ、鼻の穴周辺もしくはお腹など、呼吸を感じられる部分に注意を向けます。
吐く息と吸う息と、そのあいだの間を意識してください。
ふわふわした呼吸の上に、心がそっと置かれて休息していると考えるのもよいでしょう。
感覚や思考、周りの音などによって気が散ったら、ただそれを認めてあげて、可能なら優しく手放します。
ちょうどよい時間が経ったら、自分の内側から平穏が湧き起こるように促して、瞑想を終えましょう。
探究心を重視する
瞑想が科学と共通しているのは「探究心を重視する」という点です。
注意力を鍛えることから始めるものの、それは手段であり目的は「自己発見」です。
鍛えられた注意力によって、自分の心の中に光を当て「己の内を探る」ことを可能にします。
そして探究心は内面だけでなく、外の世界にも拡大していきます。
ダライ・ラマは科学的な探究を気兼ねなく受け入れ、瞑想を科学者に分析してもらうことをすすめました。
マインドフルネスストレス低減法
瞑想の神経科学という分野でのパイオニアが、リチャード・デイビッドソンとジョン・カバットジンのふたりです。
トレーニング・プログラムである「マインドフルネスストレス低減法」を8週間続けた被験者たちは、はっきりと不安レベルが下がったとのこと。
このトレーニングをした人たちは、ポジティブな情動に関する脳の部位の活動が上がっていたといいます。
さらに、インフルエンザの予防接種を受けたあとに生み出される抗体が増えた、つまり免疫機能までも上がったのです。
注意の瞬き
マインドフルネス瞑想を練習することで、脳の作動効率がアップグレードします。
「注意のまばたき」と呼ばれる現象があります。
たとえば1秒間に20回くらいの早さでランダムなアルファベットを見せて、その中に数字を2つ、まぎれ込ませます。
すると、たいていの人は1個目の数字に気づいた後、2個目の数字を見逃すらしい。
(詳しいことが気になる方はググってください)
これは脳の特徴であり変えようがないと思われていたのに、瞑想のトレーニングによって「注意のまばたき」を減らせることがわかったのです。
脳波を変える例、皮膚病を治す例
そのほか、瞑想の研究でわかったことで、特におもしろいものを紹介していきます。
まず仏教の瞑想の達人たちは、意図的にガンマ波と呼ばれる脳波を生み出せるとのこと。
ガンマ波が出ているときは物事を効果的に学習・記憶できるといいます。
また、乾癬(かんせん)という皮膚病の治癒を、マインドフルネス瞑想が大幅に速めるということもわかっています。
カバットジン氏らの研究結果によるもので、このような実体のある効果は重要です。
マインドフルネスは万能
瞑想によって脳の新皮質の厚みが増すこともわかっています。
もちろん、もともと脳の新皮質の厚い人が瞑想をするという可能性も考えられます。
とはいえ、瞑想の実践歴が長い人ほど脳のこの部分が厚いらしいです。
ここまでで紹介したことは、過去に行われた研究のごく一部にすぎません。
それでも、マインドフルネス瞑想が脳の機能、免疫力、皮膚病の治癒など、ありとあらゆる面で向上につながることがわかります。
【記事09に続く】
チャディー・メン・タン著『サーチ・インサイド・ユアセルフ』
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