10分間瞑想とマインドフルネスの本『頭をからっぽにするレッスン』
前回の記事からの続きです。
今回は歩行瞑想のやり方などについて。
これまでの座ってやる瞑想よりも、歩行瞑想のほうがやりやすいという人は多く、実際に心の落ち着きや解放感を得られます。
ただ、著者プディコム氏は歩行瞑想が、座る瞑想のかわりにはならないと言います。
それぞれの瞑想に意味があり、独自の重要性があるのです。
歩き方はあまり気にしない
歩行瞑想で求められるのは、あくまでも自然に、ただ普段よりもゆっくり歩くことです。
僧院や道場などによっては超スローモーションで歩く練習をしますが、これは一般人の公園などでやると怪しまれるので部屋でやりましょう。
とはいえ、瞑想のために特別な歩き方などを考える必要はなく、ただ歩けばOK。
この自然な歩行に、瞑想の精神やマインドフルネスの原則を取り入れていくわけです。
座る瞑想に加えて歩く瞑想もやるのは、その効果を上げるためにものすごく大切なことなのです。
トレーニングをした人の中には、あらゆるものがくっきりと見えるようになり、より生きている実感を得られたという人もいます。
歩きながら感覚を意識する
歩きながら「今、ここ」を意識するエクササイズについてまとめていきます。
歩くという動作そのものについては深く考えなくていいものの、身の回りの風景や人、モノなどについては意識してください。
周辺の状況を視覚的にしばらく注意を向けたら、今度は聞こえる様々な音を意識し、音の次は匂いに注意を向けます。
最後に肉体的な感覚に注意を向けてください。
日の暖かさ、または風の涼しさを感じ、歩くごとに足裏の感覚を感じたり、腕の重みなどを感じたりします。
歩いているあいだは、新しい景色が視界に入ってきては出ていき、次々に入れ替わるのを観察してください。
心がどこかに行っていたと気づいたら、再び体の動きや足裏の感覚に意識を戻します。
集中とリラックスのバランスをとる
運動をする人などは、最高のパフォーマンスを発揮できていると感じるとき「ゾーンに入った」といった表現をします。
そのような状態のときは、肉体的にきついことでも楽にできるという感覚があります。
運動やスポーツに限らず、瞑想でも「ゾーンに入る」状態になることができます。
これは、自分の肉体感覚への意識と、周囲の環境への意識が完璧にバランスのとれた集中状態です。
集中とリラックスのバランスも完璧に保たれています。
一流のプロスポーツ選手の動きを観察することで、瞑想における力の入れ具合も学ぶことができます。
心と体は別々ではなく、心がそこに在るなら体も在るし、精神が集中しているなら肉体も集中しているのです。
肉体的にきつい動きでも楽にできるようになる
プディコム氏が修行したある僧院では、五体投地と呼ばれる立った姿勢から寝た姿勢にうつる動作を繰り返す瞑想を行なっていました。
しかもチベット語の長い唱句を唱えながら動くとのこと。
彼は練習を繰り返すうちに、しだいにパターンを理解していきました。
集中とリラックスのバランスがとれたとき、体と言葉と心に同じ量の意識が向き、肉体的なきつさを感じなくなったそうです。
結果を気にせず、あらゆる動きとともにその瞬間に在ることに集中すれば、楽な気持ちでうまくできるようになるのです。
心と体を一体化させる
運動にマインドフルネスを取り入れる場合、まず反復的で他人と競い合うことのないものを選びましょう。
ランニング、サイクリング、ダンス、ヨガなどが最適ですが、慣れればバスケやサッカーなどどんなスポーツでも良いそうです。
ただ走っているときでも、慣れてしまうと簡単に心はどこかにさまよいがちです。
でも自分のベストな能力を発揮するためには、よけいなことを考えず、心と体を一体化させることが唯一の方法なのです。
【記事14に続く】
アンディ・プディコム著『頭をからっぽにするレッスン』
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