『サーチ・インサイド・ユアセルフ』要約#24 トングレンの瞑想

瞑想

グーグルのマインドフルネス本『サーチ・インサイド・ユアセルフ』以下、SIY。

前回の記事からの続きです。

今回はまず「トングレンの瞑想」を紹介します。

チベット仏教で伝わってきたもので、自分および他人の苦しみを吸い込み、自分の中で愛に変換するという方法です。

この瞑想によって、自分のなかのネガティブな情動を一掃することができます。

初心者向けとはいえないものの、著者のメン氏いわく効果は絶大なので、ぜひ試してみてほしいとのことです。

トングレンの瞑想

やり方をざっくりと説明すると、まずは自分自身の苦しみが、目の前で黒い雲となっているのをイメージします。

それを吸い込み、自分自身の中で浄化し、光の筋として吐き出しましょう。

今度は他人の苦しみも同じように吸い込み、それを浄化して吐き出す、といったイメージをしながら呼吸を繰り返してください。

練習していると、痛みや苦しみを恐れずに受け入れる能力が高まり、自分を引き止める束縛などが消えていくはずです。

ちなみにこの「トングレンの瞑想」は難易度を高く感じる人が多く、解決策として前回紹介した「善良さを増す」練習が開発されたそうです。

内なる影響力を拡大する

ここからのテーマは「影響力」についてです。

影響力というのはすでに自分の中にあるもので、外から獲得するものではありません。

すでにある影響力を拡大するためには、脳について理解し、操縦することが大切です。

まず、脳は報酬には接近し、脅威を回避する機械だということを理解してください。

そして、脅威つまりネガティブな経験には、ポジティブな経験よりもずっと強く反応します。

ネガティブな経験のほうが3倍記憶に残るといったことは、以前にも話した通りです。

ちなみに結婚生活に至っては、ポジティブなやりとりがネガティブの最低5倍は必要とのこと。

とにかく、意識して相手を思いやり、大切にしたほうがいいのです。

地位、確実性、自律性

脳が重要視する領域を、デイヴィッド・ロック氏はSCARF(スカーフ)モデルと呼んでいます。

これは地位、確実性、自律性、関係性、公平性の、英語での頭文字をとったものです。

まず地位というのは相対的な序列などのことで、人類にとって寿命にも影響するほど重要なものです。

他人を害することなく自分の地位を上げる良い方法は、「過去の自分と競争すること」です。

次の確実性は、私たちの脳が大好きなものであり、不確実なものをすごく嫌います。

不確実性は人の能力を大きく奪うこともあるのです。

3つ目の自律性というのは、自分の環境をコントロールできているかの認識です。

関係性、公平性

関係性とは、別の人が「敵」か「味方」かという認識。

私たちの幸せの要因は、社会的な結びつきの質と量であるとする研究もあるほどに、関係性というものは重要です。

以前に紹介した慈悲の瞑想(私とまったく同じ/愛情に満ちた優しさ)の練習により、脳が他人を味方だと認識できるようになります。

SCARFモデルでの最後の公平性とは、他人が不公平なことをしていると感じたら、自分が損してでもそれをとがめたくなるというもの。

たとえば100万円を二人で分けるとして、あなたの取り分が10万円だとしたら、あなたはこう思うかもしれません。

「おれが10万でお前が90万はおかしい。それならおれもお前もゼロのほうがマシだ」

この感覚は人間特有のもので、干しぶどうを使ってチンパンジーで実験しても、そうはならないらしいです。

影響力を広げる練習としての「善良さ」

社会的な脳の特性を理解すれば、自分自身にも、自分の周りの人々にも役立ちます。

自分自身の利益とも整合性のある形で、人々を助ける方法が見えてくるのです。

SCARF要因をみんなのためにうまく利用すれば、誰もが得をする状況を生み出し、自分の影響力を拡大できます。

影響力の拡大を4つのステップにまとめると、まずは自分に影響力があることを知ります。

次に、自分の長所と短所を自覚し、すべて受け入れることで自信を深めます。

次に他人を理解し、彼らが成功するのを助けましょう。

そして、思いやりの心を育てる練習をし、個人の利益を超えるもののために尽くすのです。

これら影響力を広げるための練習を一言でまとめるとしたら、やはり「善良さ」になります。

記事25に続く

チャディー・メン・タン著『サーチ・インサイド・ユアセルフ

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