『サーチ・インサイド・ユアセルフ』要約#20 自己認識能力と共感能力

瞑想

グーグルのマインドフルネス本『サーチ・インサイド・ユアセルフ』以下、SIY。

前回の記事からの続きです。

これまで瞑想の内省的な面を学んできましたが、これから学ぶのは対人的な面です。

人々との関わりにおいて、瞑想で鍛えたEQ(情動的知能)の真価が問われるからです。

自己認識と共感はつながっている

人間の脳にはミラーニューロンと呼ばれる脳細胞があり、共感や社会的認知などを司っています。

この脳細胞によって、他人の痛みなどを自分の痛みのように経験し、これが思いやりの神経基盤となります。

脳というものはまるで他人を念頭において設計されたかのようです。

自己認識能力が高い人ほど、共感能力も高い傾向にあります。

なので、瞑想で自己認識を育む練習をしていれば、共感能力も同時に伸ばすことが多いのです。

心理分析と共感は別物

心理分析と共感は混同されがちなものの、これらは別物です。

心理学的に分析することは、問題を切り捨てていて、理解してはいません。

それとは違い、相手に注意を向け、頭のレベルでも直感のレベルでも理解しようとすることが共感につながります。

共感とは必ずしも相手に同意することではありません。

発達した心があれば、相手の気持ちに同意することなく、それを理解し受け入れることができます。

共感しながらも厳しい決定を下す

ビジネスなどで厳しい決定を下すときでも、優しさと共感をもってするのが最善です。

ゼネラルエレクトリック社は、工場のひとつをやむなく閉鎖しなければならなかった際、従業員に二年前から通知していたそうです。

その間、徹底した再雇用の斡旋を行なっていたので、元従業員のほとんどが「良い会社だった」という感想を残しました。

対して、もう一方の企業は一週間前になっていきなり工場の閉鎖を発表し、再就職の支援もしませんでした。

そちらの企業に好印象を残した人は3パーセントしかいなかったということです。

繰り返し考えることがその人を作る

優しさは共感の原動力となり、相手に優しくすればするほど、相手とうまく共感できます。

また、相手と自分が似ていると感じることでも共感は深まります。

なので、他人を見たとき「この人も僕と同じなんだ」と思う心の習慣をつけることが大切です。

ブッダは「何であれ、しばしば考え、思いを巡らせるものが、その人の心の傾向となる」と説明しました。

僕たちは自分で考えた通りの人間になっていくということ。

たとえば人と会うたびに「この人が幸せになりますように」と思うようにしていれば、いずれ自動的にそう思えるようになります。

その優しさは顔や姿勢、態度に表れるので、人々はあなたの人柄に惹かれるようになるわけです。

人に優しくすると自分が幸せになる

著者のメン氏はこれらを「私とまったく同じ」の練習、および「愛情に満ちた優しさ」の練習として紹介しています。

優しさを発する側になることは、優しさを受け取る側と同じくらいすばらしいことに気づくはずです。

僕たちは社会的な生き物であり、脳のほうもあらかじめ社会的になるように設定されています。

優しさは、人間の生存の仕組みにとって重要な要素なのです。

持続可能な幸せの源は、優しさにあります。

記事21に続く

チャディー・メン・タン著『サーチ・インサイド・ユアセルフ

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