『サーチ・インサイド・ユアセルフ』要約#21 信頼がさらなる信頼を生む

瞑想

グーグルのマインドフルネス本『サーチ・インサイド・ユアセルフ』以下、SIY。

前回の記事からの続きです。

前回で触れた「私とまったく同じ/愛情に満ちた優しさの瞑想」、いわゆる慈悲の瞑想は、人間関係を修復したい状況でも使えます。

仕事仲間や奥さんとケンカになりそうになったら、別の部屋に行って頭を冷やし、こっそりこの瞑想をしてください。

「相手も自分と同じで、苦しみから解放されたいのだ」と理解し、相手の健康や幸せを願う。

すると自分の中の怒りの大半が消えてなくなるはずです。

伝統的な「慈悲の瞑想」

伝統的な仏教では「メッタ・バーヴァナー」と呼ばれ、SIYでの練習よりも構成がしっかりしています。

その方法として、まずリラックスしてから以下のような言葉を心の中で繰り返しましょう。

  • 私が穏やかになりますように。
  • 私が幸せになりますように。
  • 私が苦しみから解放されますように。

次に、対象を「自分」から「親しい人」に向け、その人の幸せを願ってください。

親しい人の次は「好きでも嫌いでもない人」、その次は「嫌いな人」の幸せを願ってみましょう。

(この瞑想に興味がある方には、アルボムッレ・スマナサーラ氏の書籍、特に『慈悲の瞑想』がおすすめです)

この瞑想を嫌いな人に向けると、次第にその人に対する嫌悪感がなくなってくるので、最後には嫌いな人がいなくなってしまうかもしれません。

信頼を築くための「共感」

ここまでで自分自身の共感能力を高める練習をしてきました。

これを土台として、自分に関わる人たちの成長を促し、最善のものを引き出す練習をしていきます。

あらゆる対人関係で基本となるのは「信頼を築く能力」です。

共感は信頼を築く助けになります。というのも人は自分を理解する人を信頼しやすいからです。

仕事でのチームが機能不全に陥る要因も、信頼の欠如が発端となることが多いものです。

認知的な脳と情動的な脳

著者のメン氏は以前、新しく入ってきた上司に不満を抱いていたことがあったそうです。

というのも、メン氏と前の上司はとても仲が良かったのに、不公平な事情で彼は会社を去ることになってしまったからです。

新しい上司のエリック氏(仮名)のせいではないと頭ではわかっていても、メン氏は彼に対する恨みを感じていました。

その気持ちを解消するために、メン氏は彼に「共感」するようにしたのです。

こうして認知的な脳と情動的な脳の両方を使い、メン氏はエリック氏と信頼関係を築くことができました。

信頼がさらなる信頼を生む

人と接するとき、相手は人間だということを必ず念頭に置くようにしましょう。

自分の情動脳を懐柔させるには、相手も自分とまったく同じ、ひとりの人間だと気づく必要があるからです。

信頼を築くためにも「疑わしきは罰せず」、つまり相手はいい人なのだという前提で接する練習をします。

そして、信頼がさらなる信頼を生むことを理解しましょう。

人は誰かに信頼されていると感じれば、逆にその人を信頼しやすくなるのです。

誰かに理解してもらえると感動する

記事09および記事10のあたりで、マインドフルなリスニングについて書きました。

この延長線上にあるのが「共感的なリスニング」です。

僕たちは心の底で、自分の気持ちを理解してもらいたいと願っています。

誰かに理解してもらえると、泣くほどに感動することもあるのです。

なので、共感的なリスニング能力を磨くことは、他人を助けることにもつながります。

「共感的なリスニング」は生まれもった能力

共感的なリスニングの練習で重要なのは、聴き手が話し手の「感じていること」をフィードバックするところです。

マインドフルな会話では内容そのものに注意を向けていたのに対し、もう一歩踏み込んで相手の気持ちを聴き取るのです。

フォーマルな練習では、話し手が一通り話したあと「あなたはこういうふうに感じていると思うのですが……」とルーピングします。

練習をした人たちはこの「共感的なリスニング」が、人間の生まれもった能力であることを実感することが多いようです。

この能力を伸ばすために普段からできることは「マインドフルネス」「優しさ」「好奇心」「練習」です。

マインドフルに過ごせば上達する

インフォーマルな、つまり日常で共感的なリスニングをするためには少しコツがいります。

自然な会話の場面で「あなたが感じていることは」などと確認するのは気まずいからです。

なので、やんわりと「こんなふうに聞こえたんだけど」というふうに確認してみるようにしましょう。

マインドフルでいることや、優しさや好奇心を忘れなければ、共感的なリスニングは上達していくはずです。

記事22に続く

チャディー・メン・タン著『サーチ・インサイド・ユアセルフ

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