10分間瞑想とマインドフルネスの本『頭をからっぽにするレッスン』
前回の記事からの続きです。
導師からのアドバイスにより、自分の中にある悲しみの場所を突き止めようとした著者プディコム氏。
悲しみを観察しているうちに、その悲しみが弱まっていることに気づき始めます。
「思考」を「意識」に変えることで、何かが変わったと確信したプディコム氏は、再び導師に会ったときにそのことを報告してみました。
感情そのものと、感情への反応は別
導師はプディコム氏の変化に気づき、笑います。
瞑想によって不快な感情を追い払えるわけではないけれど、意識をとぎすませることで、不快な感情が湧いてくるすきがほとんどなくなるということ。
プディコム氏はもともと、悲しみのほかにいらだちや不安も感じていました。
しかしこれらは、もともとあった感情に対する彼の反応にすぎません。
事実、彼は悲しみを観察しているときは怒りや不安を感じていませんでした。
感情について僕たちがこうだと考えているものは、だいたいは思い込みです。
それがわかると感情への抵抗がなくなり、その感情を受け入れられるようになります。
感情を観察すると弱まる
大切なのは、多くの場合、感情そのものが問題じゃないということです。
たとえば不安なときは、不安になっていることに不安を感じたりします。
不安を感じた場合は、その不安という感情に意識を向けるようにしましょう。
このように、感情に反応せずにじっと観察する姿勢を向けることで、その感情は弱まったり消えたりするはずです。
感情が浮かんでは消えるのにまかせることを学べば、それがどんなに強烈でも、平気だと思えるのです。
知識があるだけでは感情に対処できない
僕たちの人生体験の中心にあるのが感情だといえるのに、それについてほとんど理解がおよんでいません。
科学者がたとえば「怒ると有害な化学物質が出るから怒らないほうがいい」と言っていることを知っていても、その知識が怒りを止めることはほとんどありません。
頭で理解していることと、日々で体験する実際の感情とのあいだには溝があるように思えます。
なので知識をつけるよりも実際に瞑想を練習したほうがいいのです。
そしてここまで読んできたならわかるように、瞑想によって大切な感情が消えてしまうなんてことはありません。
感情というフィルターが世界の見え方を変える
感情は「自分」と「世界」のあいだのフィルターであり、状況に対する僕たちの認識に影響を与えます。
同じ岩山が、その日の天気や時間によって全然違う感じに見えるように、感情のフィルターがその時の世界の見え方を錯覚させるのです。
ただ、感情によっては一時的なものの他に、深く根づいた悲しみのようなものもあり、瞑想では「気質」と「状態」という観点で語られます。
気質とは「明るい」や「暗い」など、その人の性格を特徴づけるもの。
状態とは日々浮かんでは消える一過性の感情のことです。
ある感情の状態が深くしみついてしまい、気質のようになってしまうこともあるものの、これらは区別できるものだと知っておきましょう。
いい感情にも悪い感情にも好奇心を
感情に「いい」「悪い」のレッテルを貼らないようにしましょう。
とはいえ、僕たちはネガティブな感情を何とかして追い払おうとする態度を取りがちです。
そうするのではなく、あらゆる感情そのものに興味や好奇心を持つのがコツです。
適度な好奇心のある状態で、浮かんでは消える感情を落ち着いて眺めるようにしましょう。
感情とうまく付き合い、振り回されないようにするための方法を、10分間瞑想とマインドフルネスが教えてくれます。
自分の感情の気づくための2分間エクササイズを以下にまとめます。
- 目を閉じ、体の感覚を意識する
- 呼吸を意識する
- スピードや深さを変えようとはせず、しばらく呼吸の感じをたしかめる
瞑想に結果だけを求めない
瞑想とは、ただ日々の心を写真に撮ることだともいえます。
瞑想に成果ばかりを求めてしまうと、そのプロセスを味わえなくなります。
心の平和や知恵などは、見つけようと頑張りすぎるほどに逃げていくもの。
瞑想そのものに適度な好奇心を持てば、あなた自身の生い立ちや性格といったものも瞑想対象にできます。
ただ「呼吸を観察しよう」と言われ、一回やってみただけでわかった気になるかもしれません。
でももう少し時間をかけてみると、どの呼吸もそれぞれ違うことに気づくはずです。
適度な好奇心を育てるための体スキャン
この適度な好奇心を日々の生活にも取り入れることで、予想外かつ有益な発見があるかもしれません。
好奇心を育てる方法として「体スキャン」があります。やり方は以下の通り。
- 軽く目を閉じる
- まず頭のてっぺんを心の中でスキャンする
- スキャン対象を少しずつ下におろしていき、最後に足のつま先をスキャン
- 全身をスキャンしながら、どこがリラックスしているか、どこがこわばっているかを確かめる
【記事07に続く】
アンディ・プディコム著『頭をからっぽにするレッスン』
コメント