10分間瞑想とマインドフルネスの本『頭をからっぽにするレッスン』
前回の記事からの続きです。
しばらく休んでいたけれど要約作業、再開します。
今回からは本書の第3章にあたる部分で、瞑想の実践編といった内容になります。
集中する対象
いろんな種類の瞑想法が世界中にあるけれど、それぞれに共通するキーワードは「集中」と「リラックス」です。
言い換えれば「今、この瞬間に在ろうとすること」。
マインドフルネスは現代人の需要に合わせ、これらの要素を一体化させたものです。
心が混乱しているときでも、何か楽しいことに集中することで落ち着いた、という経験はあると思います。
瞑想でもまず、何かに心を集中させる必要があり、その対象は外的なものと内的なものに分けられます。
外的なものとしては特定のモノを見つめたり、特定の音、特定の言葉やフレーズなど。
内的なものとしては呼吸、体の感覚、心の中に思い浮かべるイメージなど。
10分間瞑想では、主に「呼吸」を集中の対象とします。
深い理解を得るために
座って呼吸を観察すれば、心が落ち着くのでそれで十分という人もいます。
このようなリラックス法として瞑想を利用するのも悪くないのですが、最大の効果を得るためには更なる深い理解が大切になってきます。
深い理解を得られれば、ある状況に対しても衝動的に反応することなく、上手に対処できるようになります。
その深い理解というのは、静かな心からおのずと生まれてくるものです。
水面が静まっていれば水中が見える
著者プディコム氏は朝の3時から夜の10時まで瞑想を続ける僧院で暮らしたことがあるそうです。
そこでわかったのは「心が静まるほどに深い理解が増す」ということ。
静かで透きとおったプールの水を思い浮かべてください。
プールの底まで完全に見通せるくらいに水は透き通っています。
そこに小石を投げ込むと、水面にさざ波が立ち、静まるまでにしばらくかかります。
連続して小石を投げ続けると、水面が波立って水の中が見えなくなりますが、僕たちはたいていこのような心の状態で過ごしているということ。
心を知るためにはまず落ち着かせる
なので、僕たちは自分の心というものを把握できず、感情の生まれるしくみやその理由も理解できません。
そして、深い理解を得るためにはまず心を落ち着ける必要があるということで、著者の瞑想法は集中への比重をやや多めにしています。
理解とか悟りというものはあるとき瞬時にひらめくように思われがちですが、どちらかというともっと段階的なプロセスです。
水中で起こっていることを知るためには、まずは水面を静かにしていく必要があるのです。
おのずと明らかになっていく
明らかになるべきことは、おのずと明らかになっていくのだと知っておいてください。
深い理解は勝手に、ひとりでに生まれるものです。
すると思考や感情のプロセスをより細かく意識できるようになったりします。
ただしそれらに抵抗したり、分析したりしようせず、勝手なペースで起こるにまかせることが大切。
はっきり見えるようになることは、必ずしも愉快な経験ではないにしても、これは解き放つプロセスであり、解き放つことで人生は少し軽くなります。
道にあいた大穴
毎日歩く道に大きな穴があいていると想像してください。
あなたはそこに穴があると知ってはいても、まっすぐに歩くのでそのまま落ちてしまいます。
同じ行動をすることに慣れすぎて、考える前にやってしまうのです。
瞑想を始めることで、身の回りのできごとによく気づくようになり、その穴も遠くから見えるようになるとします。
それでもしみついた行動の癖によって、やっぱり穴に落ちてしまうかもしれません。
しかし、瞑想を続けるうちに、もっと早くから避けるための行動が取れるようになっていくのです。
このように、練習によって段階的に少しずつ、ストレスのもととなる反応を避けられるようになります。
【記事08に続く】
アンディ・プディコム著『頭をからっぽにするレッスン』
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