グーグルのマインドフルネス本『サーチ・インサイド・ユアセルフ』以下、SIY。
前回の記事からの続きです。
赤ちゃんが少しずつ歩けるようになっていく様子に、瞑想の練習をたとえることができます。
著者メン氏の娘さんは、生後9ヶ月のころに最初の1歩を踏み出したそうです。
その後2ヶ月間は1歩か2歩、歩いては尻もちをつくというのを繰り返していたのですが、そのあいだも潜在的な部分で成長していたということ。
3ヶ月目のある日、いきなり記録を8歩に伸ばし、その次の日は30歩という急成長をしたとのこと。
娘さんのこれまでの練習が、一気に結果として現れたわけです。
瞑想が上達していくプロセスもこのようなものなので、あきらめずに続けていれば、ある日を境に一気に上達するはずです。
ポケットの中の宝石
むかしのインドにて、宝石泥棒が番兵に追われていました。
彼は路地で寝ている物乞いを見つけ、盗んだ宝石をその物乞いのポケットに隠して逃げました。
後から取りに戻るつもりでしたが、途中で番兵に追いつかれ、泥棒は殺されてしまいました。
物乞いは暮らしに困らないくらいの富を手に入れたはずが、ポケットの中をあらためなかったため、一生物乞いのまま暮らしたということ。
自分の内側にある宝物を見つけるために「明瞭さ」を磨いていきましょう。
自己認識によって内なる知恵にアクセス
自分の情動・感情を高い解像度と鮮明さで知覚する能力は、練習によって高めることができます。
情動が現れたり消えたりする瞬間や、微妙な変化がわかるようになるのです。
ダニエル・ゴールマン氏は自己認識を「自分の内面の状態、好み、資質、直感を知ること」と定義しています。
自己認識によって脳が活性化し、自分の内なる知恵にアクセスできるようになります。
自分の情動を目にできた瞬間、あなたはもうその情動の虜にはなっていません。
価値観を知るために情動を自覚する
「情動の自覚」「正確な自己査定」「自信」という3つの情動的能力について説明していきます。
正確な自己査定は、自分の長所と限界を知ることであり、これは情動の自覚の上に成り立ちます。
自分のすることを心の奥底にある価値観と整合させることで、自分をうまく動機づけられます。
その価値観にアクセスするために、情動の自覚が大切になってくるのです。
情動の自覚ができれば、仕事もこれまで以上に効果的に取り組め、収入も上がるはずです。
自分のエゴにユーモアを
正確な自己査定は「自己客観性」とも呼ばれます。
自分の能力や限界を正確に知っているほうが、過大評価するよりもうまくいくのです。
自信というのはうぬぼれとは違い、ほんとうに自信があれば、自分のエゴをうまく扱うことができます。
自己非難をせずに自分の限界に気づくには、深い自信が必要になります。
なので、自分のエゴやうぬぼれの感覚に対してユーモアのセンスを持つようにしましょう。
メン氏は必要に応じて、自分のエゴを小さくしたり大きくしたりしているとのこと。
人と接するときはエゴを縮ませ利他的に振る舞うと同時に、話すときは気後れしないようにエゴを膨らませ、その不合理をこっそり笑っているそうです。
自信は自己認識から生まれる
あたりまえかもしれませんが、自信をもつことは仕事の役にも立ちます。
自信の一形態である「自己効力感」が高いほど、職務遂行能力が上がるそうです。
このような自信は、深い自己認識と、自分に対する正直さから生まれてくるのです。
【記事13に続く】
チャディー・メン・タン著『サーチ・インサイド・ユアセルフ』
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