『運命を拓く』要約と感想その6。造物主の心

瞑想

中村天風著『運命を拓く 天風瞑想録

伝説の人、中村天風氏の本を数記事に渡って要約していきます。

前回の記事では第三章「潜在意識とその性能」から第四章「言葉と人生」までを要約しました。

今回は第五章「大いなる悟り」についてです。

人間の心が並べるものがないほどに偉大なのはなぜか、ということを説明していきます。

僕たちの心は宇宙よりも偉大だ

現代というのは物質的方面では豊かかもしれませんが、精神的方面はというと昔に比べお粗末になっています。

「僕の心はそんなに大きくはないし」と思ってしまうのは、心の使い方が部分的だからです。

万物の霊長として生まれた以上、はかり知れない偉大な心を持っていることに気づいてください。

これを悟れば自然に心の持ち方も良くなります。

広大無辺な大宇宙。きらめく星の一つ一つのそれぞれが立派な太陽であることなどを考えると、それは想像を絶する広さ。

さらに星々は微妙な調和をもって宇宙空間を運行しているのです。

しかし気づかなければいけないのは、人間の心はこの果てしない大宇宙よりも、さらに偉大だということです。

心の目的は人の進化向上に順応すること

「星を見て、その大きさを想像できる心は、星以上に大きいものだ」

何千年も前に書かれた仏典にも、そのような言葉があります。

人の心にこうした偉大な働きがあるのはなぜか。

それは、造物主の無限の力を自覚し、造物主の心持ちである進化向上に順応し、人と人との間を睦まじく造り上げていくためです。

でも地球に生きる僕たちはその心の価値を忘れ、自分の体ばかり考え、他人とは傷つけ合ってしまっています。

造物主とのつながりを確保しよう

僕たちの自我の中には、造物主の無限の属性が宿っています。

造物主の意図は「人間たちの幸福を増進し、進化向上を現実化させる」こと。

人間としての生命に、男も女も公平に、造物主の属性が与えられています。

運河だけで考えると少ない水量ですが、それは大海につながって存在しているので、無限の水量があるということです。

つまり人間の生命の中に存在する力は、造物主が持っている力と同じものです。

どんな場合でも、この造物主と自分の生命との結び目を堅固に確保しておきましょう。

真・善・美

ここまで造物主という言葉を使ってきましたが、宇宙霊と同義です。

消極的な心になると、自分ではそのつもりはなくても、宇宙霊の心と自分の心とが離れ離れになってしまいます。

そうならないためには自分の心を、宇宙霊の心と同様の状態にして活きましょう。

というのも宇宙霊の心というのは絶対に積極的な性質があるからです。

宇宙霊の心とは「真」「善」「美」。

「真」とは「誠」であり、嘘偽りがなく筋道が少しも乱れていないことです。

「善」とは普遍的な愛情。

そして「美」とは調和のことです。

宇宙霊と同じ心になる

愛情というのは偏っていたらだめで、太陽の光線のようの分け隔てなく照らすのが本物です。

心に誠と愛を満たし、調和を意識した生活をすれば、宇宙霊と自分とのつながりが強くなります。

どんな場合でも明るく朗らかに、心を曇らせずにいけば、宇宙霊と同じ心になる用意ができたことになります。

その用意ができるほど、宇宙霊の無限の力が自然に生命の中に入ってくるのです。

このような活き方をすれば、生命の流れは簡単には枯渇しません。

引っぱる力に押す力が加わるのと同じになり、健康も運命もどんどんよい状態になっていくでしょう。

みんな本当はすごい人

優れた人を見て、あれは生まれつきだから別次元の人間だ思うのは間違いです。

僕たちも本当はすごいのに、心をうまく運用できていないだけです。

名刀正宗を、台所で野菜を切る包丁として使っているような者です。

心を積極的にしてみれば、後に起こる事実が効果を証明してくれます。

哲学的にいうと、生命が宇宙エネルギーと結合するのであり、特殊な人間だけがそうなっているわけではありません。

病は忘れることで治る

病める人は、その病から心を放してしまいましょう。

「治る病なら放っておいても治る」

この言葉はむしろ、医者をやっている人のほうが納得がいくのかと思います。

病気のことを心配すればするほど治るのは遅くなります。

欲張りな医者は喜ぶかもしれませんが、心あるお医者さんは困ってしまいます。

病気は忘れることによって治るので、病んでも不運になっても、心の態度は崩さないように。

心の持ち方さえ積極的なら、その心の中にある生命の力は逃げません。

不要なことは忘れ、必要なことを覚える

人間だけが、自分の生命と宇宙霊とを結合する能力を持っています。

だから自分の心を磨くことで、健康も良くなり、運命も立ち直るようにできています。

要らないことはどんどん忘れて、要ることだけを覚えていくような心になりましょう。

大きなリュックを背負って歩く人を見て「何が入ってるのですか」と聞くとします。

「くだらないものですよ。家に置いとけないから、こうして持ち歩いてるんです」と返事がきたら、「この人バカか」と思うでしょう。

心の中に不要なものが多いと、肝心要のことを覚えづらくなります。

心配ならばクンバハカ

どんなことでも、心配ごとがあったらクンバハカをして吹き消してしまいましょう。

(クンバハカとは、肩の力を抜き、お尻とおなかをキュッと締める感じらしい)

不美人も顔ばかり化粧してないで、心のお化粧をしてください。

男性諸君も同じことで、ダイヤモンドの原石は真っ黒だけど、懸命に磨けばピカピカになるのです。

自我の中には、造物主の無限我が入っていることを忘れないでください。

次の記事に続く

中村天風著『運命を拓く 天風瞑想録

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