グーグルのマインドフルネス本『サーチ・インサイド・ユアセルフ』以下、SIY。
前回の記事からの続きで、今回で最後となります。
今回は本書のエピローグ、謝辞、監訳者あとがきの部分から心に残った部分をまとめていきます。
著者のメン氏による推薦図書も一覧にしておきます。
エピローグ
ダライ・ラマをはじめとした、メン氏をとりまく賢人たちは、人々のために一生懸命に尽くしているにもかかわらず、自分たちのことを「怠け者」だとジョークを飛ばします。
彼らは自分たちのやることをごく自然なこととして楽しんでいます。
というのも、躍起になって「世界を救おう」としても長続きしないので、まずは内面の平穏を深めたり、思いやりを増したりすることに専心したほうがうまくいくのです。
ティク・ナット・ハン禅師も以下のように言います。
「まずはブッダのいう、心を鎮めることを覚えなければならない。それを覚えれば、もはや私たちが行動するのではなく、行動のほうが私たちを導いてくれる」
無理に動こうとしなくても、内面に意識を向けていれば、自然に適切な行動ができるのです。
謝辞より
メン氏は謙虚にも「私は賢人たちの言葉を、私にさえわかる言葉に翻訳したにすぎない」と述べています。
(それでも古代から伝わる叡智を、現代の言葉で表現してまとめたメン氏はすごいと思います)
メン氏は少なくとも以下3人の巨人の肩の上に乗って、SIYの講座を成功させ、この本を完成させたといいます。
EQ(情動的知能)という考え方を世に広めたダニエル・ゴールマン。
瞑想に科学的裏付けを与えたパイオニア、リチャード・デイヴィッドソン。
マインドフルネスを最初に一般的な医療に取り入れたジョン・カバットジン。
その他たくさんのお世話になった方々に、ありがとうという気持ちをこめてメン氏は次の言葉でしめくくります。
「行こう、行こう。心を解き放ち、みんなで行こう。ようこそ、悟りの世界へ!」
(羯諦 羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦 菩提薩婆訶)
推薦図書一覧
巻末で紹介されていた、メン氏の推薦する書籍(日本語訳のあるもの)を一覧にしておきます。
『言いにくいことをうまく伝える会話術』ダグラス・ストーン著
『なぜ人は破壊的な感情を持つのか』ダニエル・ゴールマン著
『〈気づき〉の奇跡: 暮らしのなかの瞑想入門』ティク・ナット・ハン著
『今、ここを生きる』ヨンゲイ・ミンゲール・リンポチェ著
『ビジョナリー・カンパニー2』ジェームズ・C・コリンズ著
監訳者によるあとがきより
マインドフルネスの練習をしてみると「ふだん、いかに気が散っているか」に気がつくと思います。
それも、いちばん本領を発揮したいときに気が散っていることに気づくのです。
そんなときマインドフルな自分でいることさえできれば、もっとうまくできるはずです。
ひとりひとりの「なんか、マインドフルネスいい感じ」という人間的な感触が、世界を変えるきっかけになると思います。
あくまで科学をベースにした実践が大前提であることは、グーグルのシステム開発の中核にいたメンさんが語っている通りです。
「静かに座って目を閉じていると、天使の声が聞こえてきて幸せになる方法を教えてくれるよ」……なんていうことはありません。
本書は、これ一冊でSIYを疑似体験できるお得な本です。
メンさんの軽妙だけど慈愛に満ちた表現から、マインドフルネスというものの息吹を感じ取っていただければと思います。
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チャディー・メン・タン著『サーチ・インサイド・ユアセルフ』
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