反応しない練習の実践編『これも修行のうち。』
前回の記事からの続きです。
今回からは「思考」に関連するプチ修行を紹介していきます。
いろんな思考、考え方がごっちゃになって混乱している状態を仏教では「無明の闇路」と表現します。
仏教には混乱から抜け出すための考え方、枠組みがいくつかあります。
これらの枠組みを学ぶことで、現実に向き合うための役に立つはずです。
妄想と方向性の違い
仏教でいう「正しい考え方」とは、「方向・方法・前提」の3つで構成されています。
方向性とは、たどり着きたい将来の自分であり、自分にとって正しい方向かどうかは「苦しみがないかどうか」でわかります。
また、妄想と方向性は違うというのも理解しておいてください。
行動しないのが妄想、実際に行動するのが方向性であるという考えで大丈夫です。
方向性が正しい場合は楽しい
大切なのは、その方向性が自分にとって快かどうかということ。
楽しい、心地よい、正しい、といった思いをその方向に描けるなら、そのまま進みましょう。
方向性を定めることは必須ではありませんが、道に迷った感じがある人にこそ、快の方向を考えることは大切な修行になります。
また、本でもブログでもYouTubeでもいいので、理想とする生き方をしている人を見つけましょう。
その人に自分を重ねることで、方向性がよりわかるようになるはずです。
「なんとかなる」と強く意識
人はほっとくと暗い妄想におちいりがちです。
その内容がどんなものであれ、実際に起きていないものは妄想です。
1度目を閉じて、今考えていたことは全部妄想だったと確認し、目を開けましょう。
そして実際に見えるものや手足の感覚を意識し、妄想と現実をしっかり区別するのです。
なお「なんとかなる」という言葉はやはり強力です。
暗い妄想が浮かんでしまうなら「なんとかなる」と念じてください。
なんとかなるかどうかなんて根拠がないけれど、妄想にだって根拠はありません。
妄想に気づいたら「なんとかなる」と考え、心をニュートラルに戻しましょう。
この情報、役に立つのか?
テレビやスマホなどからたくさんの情報にさらされると、すぐ脳内が妄想でいっぱいになります。
なので、常に自分自身に「この情報、役に立つのか?」と問いかけるようにしましょう。
そうすれば情報を取捨選択でき、自分の方向性を見失いにくくなります。
そもそもデジタルな機器を避けるのも有効な手段です。
完全に断つのは無理でも、寝る〇時間前にはもうスマホを見ないとか、タイマーをセットするなど、いろいろ工夫できるはず。
むだな妄想が減れば、そのぶんだけ心を別のことに使えるので、幸せの総量は確実に増えるのです。
言葉抜きのテクニック
すでに頭に溜まった妄想や雑念を消せば、日常的な判断なども的確にできるようになります。
しかし、考えすぎてしまうクセをどうやったらやめることができるのか。
その修行として「言葉抜き」を紹介します。
たとえば「あの人には腹が立つ」という言葉が浮かんだとします。
この言葉を心の中で、以下のように少しずつ消していくのです。
「…の人には…が立つ」「…には…たつ」「…わ…つ」「……(沈黙)」
実際にやってみると、言葉を消すとそれに伴う思考や感情も消えていくことに気づくはずです。
考えのない状態は快
自覚していなくても、人は考えすぎて頭の中が言葉でいっぱいになっていたりします。
その結果、不満や怒りなどネガティブな感情や妄想が生まれます。
なので頭の中の考えが減ってクリーンな状態になることは、最高の「快」だと知っておいてください。
「言葉抜き」などを活用し、考えを消していくことに慣れていきましょう。
【記事09に続く】
草薙龍瞬著『これも修行のうち。実践!あらゆる悩みに反応しない生活』
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