エックハルト・トール著『ニュー・アース』。
前回の記事では5章の前半部分を要約しました。
今回は後半部分です。引き続き「ペインボディ」について。
ペインボディとはネガティブな感情が蓄積してできた、心の中の寄生生命体のようなものです。
ペインボディはどのように糧を補充するか
ペインボディが補充する糧とは、自分と同じ周波数で振動しているエネルギーです。
感情的につらい体験は、なんでもペインボディの糧になります。
自分のなかに不幸を求める何者かが存在すると気づくには、進んだ意識が必要です。
他人のなかにそれを見つけるのは比較的簡単です。
ほとんどの人の場合、ペインボディが眠っている時期と活動している時期があります。
ペインボディの糧となる思考
なんらかの出来事が、ペインボディの目覚めのきっかけとなることがあります。
ふいに思考がひどくネガティブになり、不安や激怒のような重苦しい感情を感じたら、ペインボディが目覚めたということです。
幸せでポジティブな思考はペインボディの糧にはなりません。
ペインボディはネガティブな思考だけを消化します。それだけが自分のエネルギー場に一致した思考だからです。
私たちが物質として知覚しているのは特定の幅の周波数のエネルギーの振動です。
思考も同じくエネルギーの振動ですが、周波数が高いので見ることと触れることもできません。
ペインボディの振動の周波数は、ネガティブな思考の周波数と共振しているのです。
ふつうは思考が感情を生み出しますが、ペインボディの場合は逆で、ペインボディから発した感情があなたの思考を乗っ取ります。
乗っ取られた思考はネガティブになり、あなたはそれを止めるのも難しいと思います。ペインボディにとっては痛みが喜びだからです。
糧の補充を終えたペインボディはまた眠りにつき、残されるのはへとへとになったあなたと、弱って病気にかかりやすくなった身体です。
ペインボディの糧となる波乱
まわりに親しい人がいると、ペインボディはその人たちを挑発し、糧を得ようとします。
相手のペインボディはあなたのペインボディを目覚めさせ、お互いにエネルギーを活性化しあうように仕向けます。
アルコールはペインボディを目覚めさせやすく、酔っ払ってペインボディに乗っとられると、性格が激変します。
それで他人に暴力を振るい、酔いがさめた後に心から後悔し、二度と暴力を振るわないと約束したとします。
でも「約束した者」と「暴力を振るう者」は別人のようなものなので、また暴力が繰り返されるのです。
当人が「いまに在る」ことができて、自分のなかのペインボディを認識し、そこから自分を引き離せば暴力は止まります。
「恋に落ちた」つもりが、実際は補完的な相手のペインボディにひかれあっただけかもしれません。
あなたは夫や妻とだけ結婚するのではなく、お互いのペインボディも含めて結婚するのです。
なんらかのきっかけでパートナーのペインボディが目覚めて、人格が変わったようになったとします。
そのときはパートナーを通してペインボディがしゃべっているのだと思ってください。
重いペインボディ
決して休眠しない重いペインボディを抱えている人もいます。
そういう人たちは、表面上は笑顔で礼儀正しくみえても、裏では不幸な感情の塊がたぎり、ことあるごとに反応しようとしています。
自分が抱えている痛みを自覚しておらず、自分の反応を通じてその痛みを出来事や状況に投影します。
「出来事」と「出来事に対する自分の反応」を区別できないのです。
こういう重いペインボディの持ち主が、なんらかの理想を掲げた運動家になることがあります。
しかし彼らの言動に流れるネガティブなエネルギーなどにより、結局は反発する人が増えていきます。
娯楽、メディアとペインボディ
暴力的な映画がこれほどに観客を集めるのは、人々がそういう映画を観て、嫌な気分になりたいからでしょう。
人間が嫌な気分になりたがるのは、ペインボディのせいです。
娯楽産業の大部分はペインボディにサービスしているのです。
ではすべての暴力表現が「いけない」ことなのかというと、そうでもありません。
すぐれた映画は暴力を大きな全体像のなかで表現して、原因と結果を明らかにします。
狂気を狂気と認識するのは正気であり、目覚めであり、狂気の終わりです。
女性の集団的ペインボディ
それぞれの民族、国家、人種のメンバーのほとんどは多かれ少なかれ、そのペインボディを分かち合っています。
女性の場合は、生理の直前期になるとペインボディが活性化する傾向にあります。
女性にもエゴはありますが、どちらかというと男性のほうがエゴは簡単に成長します。
比較的に女性のほうが内なる身体と触れ合い、自然界と調和しているからです。
ここ2000年の歴史のなかで女性原理が抑圧されてきました。
とくにひどいのが「魔女狩り」で、ローマカトリック教会によって300年間に300万人以上の女性が殺されたのではないかと言われています。
シュメール、エジプト、ケルトなど、キリスト教以前の古代文明では、女性原理はむしろ尊重されました。
そこから男性のなかでエゴが発展し、エゴが地球を支配するためには、女性を無力化する必要がありました。
こうして抑圧された「聖なる女性性」を、多くの女性は感情的な痛みとして感じ、ペインボディの一部となっているのです。
いま、状況は急激に変化しつつあります。
意識の目覚めを経験する人が増えて、エゴは人類の心に対する支配力を失おうとしています。
国家や人種とペインボディ
歴史の古い国のほうが強力なペインボディをもっています。
感覚が鋭い人は、そういう国に来て飛行機から降りたとたんに、重いエネルギー場を感じます。
重いペインボディをもった国々は、それぞれの方法で痛みを緩和しています。
例えばドイツや日本では仕事によって、中国では太極拳の広がりによって痛みを和らげているといいます。
太極拳、気功、ヨガなどの身体を使ったスピリチュアルな実践は、西欧世界でも広まっています。
このような実践はグローバルな目覚めに重要な役割を果たすでしょう。
自分のペインボディが集団的なものなのか、個人的なものなのかは関係ありません。
どちらにしても、いまの自分の内なる状態に自分で責任をとらなければ、それを乗り越えることができません。
この地上での悪行の犯人はたった一人だけで、それは人類の無意識です。
そこに気づくことこそが真のゆるしです。
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