前回の記事からの続きです。
なぜだかわからないけど苦しい…といった正体不明の苦悩の原因は、業(ごう)かもしれません。
業とは、心の奥底から働きかけてくる、同じ反応を繰り返させようとする力のこと。
何十年も続く業から抜け出す方法を探っていきましょう。
業は「心のクセ」
業は反応のパターン、心のクセとも呼ぶことができ、それによって性格が形づくられたりもしています。
長い期間繰り返されていて、自分でも理由がよくわからず、限界を感じるほどの苦悩になりうるのも業の特徴です。
心理学などの分野ではまだ注目されていないものの、仏教の世界では業を、苦しみに縛り付ける力として語り継いできました。
物事への反応をいっときで終わらせず、執着させようとするのも業の働きです。
別の反応もできるはずなのに、業に駆られて同じ反応を選んでしまい、苦しみの輪廻が続いていくわけです。
今できる方法を理解する
業を輪廻転生の物語、すなわち過去世を引き合いに出して考えることもできますが、その場合真実なのかを検証する術がありません。
ブッダ自身も「経験しえないことを語らないように」と説いたといわれていて、要は物語に頼らず、今生きているこの人生にとって役立つことを考えようということ。
過去世や未来世を信じる道ではなく、今の自分ができる方法を理解する道を、本書では伝えているのです。
理解が進めば心の状態が変わる
業を抜けるには、やはり「理解する」ことが大切です。
観念的にわかった気になるだけでなく、本気で理解が進んでいけば、心の状態が変わっていくことになります。
理解するためのコツとしては、ラベリングを応用するような感じで、業(自分の心のクセ)に名前をつけていってください。
代表的な業には「求めすぎる業」「怒りの業」「慢の業」「妄想の業」「自己否定の業」などがあります。
すぐに認めることができないにしても、誰しも何らかの業に苦しんでいるのではないかと思います。
業のタイプは人それぞれ
業のタイプには人の数だけあるといわれるほどバリエーションがあります。
なので先ほどの例とは当てはまらない自分の業に気づけるかもしれません。
独自の名前をつければOKで、大切なのは自覚できるかどうかです。
その自覚がけっこう難しいという特徴があるので、あとで冷静になったときにでも気づいて反省する練習を積んでいきましょう。
目を閉じて1日を振り返ったり、日記に書いたりする方法がおすすめです。
業が見えると人生に革命が起きる
心のクセ(業)を言葉で確認する作業を積んでいくことで、これまで見えなかったものがだんだん見えてくるようになります。
すると、見えなかったからこそ繰り返していたというのもあるので、見えてくることによってそれを止める余地も生まれてきます。
心のクセを抜けることは、人生の革命といえるくらい画期的なことかもしれません。
それは日常生活や人間関係、仕事ぶりなどあらゆることが好転するはずです。
【記事13に続く】
草薙龍瞬著『こころを洗う技術 思考がクリアになれば人生は思いのまま』
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