『こころを洗う技術』要約#05 反応モードから理解モードへ

瞑想

CLEAN こころを洗う技術

前回の記事からの続きです。

ここからは、瞑想やマインドフルネスと呼ばれる「心を浄化する方法」の本質を解き明かしていきます。

日々の暮らしで生じる心の汚れは、その都度すっきりと洗い流していきましょう。

意識するということ

自分の心の根底にあるものを明らかにする実験として、まず目を閉じてみてください。

目を閉じたまま眼球を動かしたり、周囲の気配を感じ取ったりします。

次に目を閉じたまま、自分の手の感覚を、モノを見るように見つめてください。

そして、手は動かさない状態で「この手を動かそう」とだけ意識してみます。

以上、ここまでで使ってきたのが「意識」というエネルギーであり、「わたし」の奥底で動いているものです。

意識エネルギーが様々な反応に変わる

この「意識」のエネルギーが元となり、感覚や欲求や思考といった「反応」になるわけです。

これらの反応が自分にとって価値あるものなら問題ありません。

でも、多くの人が意識の使い方を知らないため、無駄な反応に費やしてしまうのです。

その結果として貪欲、怒り、妄想が生まれ、さらに承認欲と妄想が結びついて「慢」となります。

私たちの日頃のストレスや悩みは、ほぼこれら四つでできているといっても過言ではありません。

これらの反応を事前に防ぐことが大切ですが、すでに反応し記憶として刻まれている場合の解決策は、やはり「理解すること」です。

意識というエネルギーを、さらに細かく理解することに使うのです。

理解するとはどういうことか

事実として、在るものは在る、無いものは無いとだけ認識し、反応も解釈もしない。

こういう心の使い方を「理解する」と表現します。

たとえば目の前に果物が置いてあったら、それが見えていることだけに留まり、「どんな味がするのだろう」といった反応に踏み込まないようにします。

この意識の使い方を、ブッダはサティ(気づき・マインドフルネス)と呼び、自由な境地に達するためのただひとつの道だと説きました。

サティを練習し、理解する力を鍛える

このサティという言葉の意味を実感するためには、これから自分で実践していくしかありません。

もしサティを究めたら、一切の心の汚れが吹っ飛び、悟りの心境に達するはずです。

どこまで究めていくかは練習しだいですが、現実の問題や心の苦悩を越えるためには、「理解する力」が欠かせません。

汚れてしまっている心でいくら考えても、さらなる悩みが増えるだけなので、まず「理解する力」を育てるためにサティを練習していきましょう。

手を使うサティと呼吸を使うサティ

自分の心の動きをひとつひとつ見つめ、それぞれを精密に「在る」と理解する。

これがサティを働かせるということで、練習によって心への理解が増していきます。

代表的な練習方法として、まずは手を使うサティ。

目を閉じたまま手の感覚を意識しながら、握って開く動作を繰り返したり、肩の高さまで上げて下ろしたりを繰り返します。

次に呼吸を使うサティ。

座る姿勢でも寝る姿勢でもいいので、鼻先やお腹のふくらみなど、呼吸を感じられる部分を意識します。

呼吸にラベリングをするのも効果的で、「ふくらみ、ちぢみ」でもいいし、吸っているとき「1」吐いているとき「2」とカウントしていってもいい。

立つサティと歩くサティ

次に「立つサティ」を紹介します。

立った状態で、頭から足の裏までの感覚ひとつひとつを確認してください。

そして足の裏に意識を集中させ、軽く足踏みして重みの変化する様子を観察します。

最後に「歩くサティ」。

歩きながら足の裏に意識を向け、「上げている」「運んでいる」「下げている」というように、動きにラベリングしていきます。

歩く速度などは自分で工夫してよくて、要は雑念が入りこまないようにラベリングを連続させることです。

反応モードから理解モードへ

これまで「反応モード」だった心の状態を「理解モード」に切り替えるにはある程度の時間が必要なので、自分でルールを決めて継続していきましょう。

座るとどうしても眠くなるのであれば、「歩くサティ」「筋トレしながらサティ」というように体を動かすことをメインにします。

すぐスマホを触ってしまうクセがついていると、どうしても反応に流されやすい心になります。

なので修行と思って意図的にスマホを遠ざけ、体の感覚に集中するのもよいでしょう。

ラベリングは心と体の動きを大まかに確認する方法で、サティはより細かく瞬間瞬間に「在る」ことに気づく方法です。

ラベリングとサティを両方同時に練習して「理解する力」を鍛えれば、心はクリーンになってきます。

焦らないようにして、心が変わっていく可能性に期待していきましょう。

記事06に続く

草薙龍瞬著『こころを洗う技術 思考がクリアになれば人生は思いのまま

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