前回の記事からの続きです。
全ページでけっこう大事なことを言っているので要約が大変ですが、なんとか原文の2割くらいの言葉にまとめていけたらと思います。
苦しみが生まれるプロセス
苦しみというのは、どのようなプロセスで生じるのか。
まず「意識」というエネルギーが、外の刺激に触れ、反応します。
強く反応することで、結生(けっしょう)すなわち欲求になったり、感情とともに記憶に刻まれたりします。
そして反応が持続するという執着に変わるのです。
これは深い苦悩から、自覚できないくらいモヤっとした精神状態までを含みます。
反応から執着へ
人が生きる限り流れ続ける意識エネルギーは、何かを求め続ける感じから仏教では「渇愛」と呼ぶこともあります。
この意識をうまく使いこなせば、生きる意欲やモチベーションにもなります。
ただ、意識が何かの刺激に触れた瞬間、怒りや雑念といった無駄な反応が生まれます。
この流れは勢いがついて止められなくなりがちなので、日頃から意識を「価値あることに使う」ことを習慣づける必要があるのです。
反応するとそれが結生し、執着という状態に至ります。
この段階で「心の汚れ」が生じ、ストレスや不安、憂鬱といった形で現れるのです。
クリーンな心を目指して方向転換
多くの人は、心の汚れがかなり溜まってしまってからやっと気づくという生き方をしています。
でももし、反応から執着になる前に気づき、その都度それを消せるようになれば、生きるのはかなり楽になるはず。
心が無駄な感情や思考でいっぱいのままでは、今後も幸福や深い納得を得ることは期待できません。
なので、ここからクリーンな心(落ち着いた心・透き通った心)への方向転換を図りましょう。
自分の生き方に納得できるようにする
心がクリーンであれば、苦しみがなくなり、物事をよく見通せるようになります。
持ち前の心でただがんばるだけでは、結果も出ないし「人生、これでいい」という納得もできないままかもしれません。
でも心が動くプロセスを振り返れば、日々の悩みや迷いを減らしたり止めたりできることがわかってくるはず。
そのうえでブッダの合理的な考え方を身に付ければ、「自分はこの生き方で大丈夫だ」という納得とともに生きていけるようになります。
ゴールが「クリーンな心」だとすれば、そこにたどり着く道が本書のタイトルでもある「こころを洗う技術」です。
自分のしていることに気づく
無用の苦しみを作り続けている心の動きを止めるための、最初の作業が「気づく」ことです。
心が汚れている状態では「正しい理解」を得られないので、まずその状態に気づこうとブッダは言います。
先ほど説明してきた「心が動くプロセス」も、正しい理解のひとつです。
そして、理解するための方法として「ラベリング」があります。
ラベリングとは、今自分がしていること、やろうとしていることを言葉にする作業のこと。
たとえば、歩いているときは「僕は今、歩いている」、作業を始めるときは「これから作業を始めます」。
やる前に確認、やっている最中に確認、やった後に確認、が理想形です。
ラベリングを少しずつ習慣づける
5分間だけでもいいので、単純作業をするときに事実確認(ラベリング)をしてみましょう。
意外に注意力が必要で、ほとんどの人は途中で余計なことを考え、確認を忘れてしまうはずです。
つまり、日頃から今を生きていないということになります。
このような状態の心は、過去に戻ったり、自分を責めたりして、汚れをいっそう増やしてしまいます。
なので1日に何度か、真剣にラベリングに取り組むのはとても効果的なのです。
次第に頭が冴えてくる、心がクリアになることを実感できるはずです。
【記事03に続く】
草薙龍瞬著『こころを洗う技術 思考がクリアになれば人生は思いのまま』
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