パウロ・コエーリョ著の小説『アルケミスト 夢を旅した少年』。
前回の記事からの続きです。
ここで豆知識ですが、バンドのACIDMANの楽曲『アルケミスト』はこの小説をイメージして作られたものです。
改めて聴いてみると、ものすごくよい曲だったことがわかります。
さて淡々とあらすじを書いていってますが、このペースで行くと計20記事くらいになるかもしれません。
気長にお付き合いいただければと思います。
少年と別れた後の老人
前回、前々回の記事は丸ごと少年と老人とのやりとりでした。
この小説全体の中でも重要なパートだと思います(とはいえ、どのページをめくってもけっこー大事なことが書いてある)。
ご老人、名前を一回名乗っているけど少年はもう忘れてしまっています。
このセイラムの王メルキゼデックは、少年にもう少し自分がメルキゼデックだってことを念押ししておけばよかった、と少し後悔します。
彼は少年にもう会うことはないとわかっていたからです。
神は運命を持たないため、望みを持ってはならないといいます。
メルキゼデックは天を見上げて言いました。
「神よ、あなたのおっしゃるとおり、これは虚栄中の虚栄です。でも、年老いた王には、時には自慢も必要です」
アフリカに来てみた
老人と別れた後の少年は、さっそく海峡を渡りアフリカ大陸、タンジェの地に行きます。
文化も宗教も違う見慣れない光景に少年はとまどいます。
小さなことに思えて一番困るのが、この地ではみんなアラビア語を話すということ。
とりあえず立ち寄ったバーにてお茶を飲みながら、少年はお金なら持っているから自分は一人ぼっちではない、と考えます。
ピラミッドのある場所へも数日で到着するだろうと、かなり楽観的に考えていました。
老人と前兆について話していたことを回想していたら、スペイン語で話しかけられたことに少年は気づきます。
バーで若者と出会う
見てみると、肌の色は現地の人だけど、背格好も年齢も自分とだいたい同じそうな若者がいました。
少年はその若者とスペイン語で会話ができることに安心し、ピラミッドに行きたいといったことなどを彼に話します。
すると若者はピラミッドへ行くには砂漠を横断する必要があり、お金がかかると説明。
そこで少年はまた老人との会話を思い出します。「何かを本当に欲すれば、宇宙は常に、おまえの味方になってくれる」と老人は言っていました。
少年は自分にはお金があると示すため、若者に自分の袋を見せます。
その様子を見ていたバーの主人がアラビア語で何か言い、若者と主人で言葉を交わし、主人は少年の胸ぐらをつかんで怒った声でまくしたてました。
若者が主人を押しのけ、少年と二人で店の外に出て言いました。
「彼は君のお金が欲しかったんだよ」
露店で美しい剣が目に止まり…
若者はピラミッドに行くにはまずらくだを買わなくてはと言い、少年からさりげなくお金の袋を受け取ります。
露店が並ぶ通りを二人で歩きながら、少年は(お金の袋を返してって言おうかな…でも言うのは友人らしくないかな)などと考えていました。
突然、がらくたのようなものが並ぶ中に、初めて見るような美しい剣が少年の目にとまります。
エジプトから帰ってきたときにはその剣を買おうと少年は思い、自分のうしろにいるはずの若者に聞いてみました。
「あの店の主人に、あの剣がいくらか聞いてくれないか?」
声に出した瞬間、今どんな事態になっているかを少年は悟ります。
勇気をふりしぼって振り返ってみたら、案の定、若者の姿は消え去っていたのでした。
人生が一変してしまった
昨日までは60頭の羊を持ち、羊飼いとして平和に暮らしていたのに、今は見知らぬ土地で、しかもお金を全部盗られて文無しという状態。
少年は自分の人生が劇的に変わってしまい涙目です。
自分の夢に向かって進もうと、うきうき気分だったのに初っ端から人間に裏切られ、神はひどい仕打ちをするものだと少年は泣いてしまいました。
気を取り直して自分の残りの持ち物を確認してみると、老人のくれた2つの石が残っていて、いくぶん少年の気持ちは落ち着きました。
今になって、少年は「バーの主人が悪、若者が善」と決めつけて世界を見ていたことに気づきます。
バーの主人が怒っていたのは、あの若者を信用するなよと言いたかったからなのです。
【記事06に続く】
パウロ・コエーリョ著『アルケミスト 夢を旅した少年』
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