『BRAIN DRIVEN パフォーマンスが高まる脳の状態とは』
ビジネス書とかで使われる言い回し「〇〇ドリブン」とは「〇〇をもとにした」といった意味だそうです。
そしてこの本『ブレインドリブン』、脳科学や神経科学の叡智と、哲学や心理学の叡智とを照らし合わせるのが目的というだけあって、ものすごくためになる内容となっています。
モチベーション、ストレス、クリエイティビティという3つのテーマに分けられていて、専門用語はさすがに多いものの、例え話などがしっかりしているため最後まで楽しんで読めました。
この記事では個人的に印象に残っている部分を紹介していきます。
モチベーションを「気づき」で制御
モチベーションの章においても、例えば「やる気が出ている状態」と「やる気が出ていることに気づいている状態」を明確に区別しているあたりが、この本のすごいところだと思います。
気づいている状態というのは、メタ認知ができているすなわち自分自身を客観的に見ることができているということ。
コーヒーが飲みたいなど「何かをしたい」と感じているときは、脳からドーパミンが出ています。
著者の青砥さんはコーヒーが飲みたいという思いを活かし、あえて飲まずにドーパミン濃度を高めた状態でやる気を仕事に向けるそうです。
こういったテクニックは、普段から自分の状態に気づく練習をしているかこそ実践に役立てられるわけです。
良いストレスと悪いストレス
ストレスと聞くと、無条件に悪いものだと決めつけてしまいたくなるものの、実際はそうではありません。
良いストレスと悪いストレスがあるという知識を入れておくだけでも、その知識が悪いストレスを解消する方向に働くはずです。
古代から人間も他の動物も、ストレス反応によって闘争するか逃走するかの選択をせまられ、生き残ってきた経緯があります。
なのでストレスのおかげで絶滅せずに存続しているというわけです。
ただし、現代社会では生命の危険がなくても、あたかも生きるか死ぬかくらいのストレス反応を脳がしてしまうことが多く、それが続けば鬱になってしまうのも無理はありません。
やはり自分を客観的に見る練習をして、何が原因でどんなストレスを感じているかを知ることが大切になってきます。
そうすれば言葉にもできない、表現しきれない感じが、自覚しないところで膨れ上がるのを避けられるはずです。
クリエイティビティも育てられる
何かを創り出すクリエイティビティという脳の機能は不思議なものですが、最近になってすごい勢いで研究が進んでいるとのこと。
クリエイティビティを発揮しているような人、例えばプロの小説家の人なんかは頭の中どーなってるのという感じで、やはり持って生まれた才能なのかなと思ってしまいがちです。
けれど著者によれば、クリエイティビティも後天的なもので、脳を鍛えることで育てていけるそうです。
昔は、脳細胞は歳をとるにつれて減る一方だと言われてきましたが、今では何歳からでも増やせるということがわかっています。
脳細胞そのものというか脳神経の結合は、筋肉と同じように使わなければ減って、使えば増えていくものらしい。
クリエイティビティを育てる方法としては、例えばピアノを弾くにしても楽譜のままにただ弾くのと、自分なりに感情こめたりアレンジしたりしながら弾くのでは、使われる脳の部位が全然違うらしい。
このあたりは、今後人間が人工知能と共存していく上でも大切になってきそうです。
終わりに
以上、脳科学や神経科学といった学問は難しいけれど、理解できれば生きることの質に直結しそうな可能性を感じます。
ドーパミンやセロトニンといった様々な脳内物質についても、本書を読むことでそれらの詳しい機能がわかり、いかに自分の知識がうわべだったかもわかりました…。
確固とした科学に基づいて書かれた本なので、古今東西の自己啓発系の本で書かれていることともリンクして腑に落ちるようになります。
現時点でAmazonプライム会員なら無料で読めるし、オーディブル版もあるので気になる方はぜひ読んでみてください。
『BRAIN DRIVEN パフォーマンスが高まる脳の状態とは』青砥瑞人 著
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