パウロ・コエーリョ著の小説『アルケミスト 夢を旅した少年』。
前回の記事からの続きです。
軍隊の野営地にて、これから自分を風に変えるため、少年はまず砂漠と対話します。
本小説のクライマックスといえるシーンで、うまく要約できるかわかりませんが、なるべく流れを切らないように書いていこうと思います。
砂漠との対話
「愛とは何だ?」と砂漠は少年にたずねます。
愛とは砂漠の上をゆく、はやぶさの飛翔だと少年は答えます。
はやぶさは、わしがせっかく育てた獲物を捕っていってしまうと砂漠。
獲物がはやぶさを養い、はやぶさが人を養い、人が砂漠の砂を養う、それが愛だと少年は説明します。
砂漠には少年の言うことがよく理解できませんでしたが、少年は「少なくとも、あなたの砂こどこかに僕を待つ女性がいることはわかってくれますね」と続けます。
だから僕は自分を風に変えなければいけない、という少年に対し、砂を貸すから風に助けを求めてみよ、と砂漠は言うのでした。
風との対話
そよ風が吹き始め、少年を遠くで見ていた部族の男たちはざわめき出し、錬金術師はにっこりとした表情に。
「おまえに砂漠と風のことばを教えたのは誰だ?」と風は問い、自分の心だと少年は答えます。
少年の故郷では、風はアンダルシアから吹いてくるものだと思われていましたが、実際のところ、風はどこから来るわけでもどこに行くわけでもありません。
おまえと私はまったく別のものだから、おまえは風にはなれないよ、と言う風に対し、それは正しくないと少年。
僕たちはみな同じ手によって作られ、同じ魂を持っている、という錬金術の秘密をこれまでの旅で学んだのだと少年は言います。
だから、ちょっとの間でいいから、風になる方法を教えてほしい。
そうすれば、あなたと僕は人間と風の無限の可能性について話し合えます。
じゃあ太陽に聞いてみなさい
少年の言うことに風は好奇心を示しました。
自分に限界などないと思っていた風ですが、この少年はそれ以上のことをできるはずだと言っている。
「これは僕たちが愛と呼んでいるものです」と少年。
愛されているときは何でも創り出すことができるし、そのとき何が起きているか理解する必要もない。
風が助けてくれさえすれば、人は自分を風に変えることもできると少年は言います。
風は誇り高き存在でしたが、自分が愛について知らないことを認めざるをえませんでした。
「たぶん、天に聞いたほうがいいだろう」と風。
では天に聞くから、目がくらまないように砂嵐を起こして、太陽をおおい隠してください、と少年は風に頼むのでした。
その頃、野営地では
風は力のかぎり吹きまくり、空は砂でいっぱいになります。
野営地のほうでは、これはヤバいと思った司令官が2人、首領に「もうやめさせたほうがいいかもしれません!」と訴えます。
でも首領のほうはテンションが上がっていて、「わしはアラーの偉大さを見たいのだ」と尊敬の念をこめて言います。
真の砂漠の男は恐れたりはしないものだ。
そう思いながら、首領は恐怖を口にしたこの2人を司令官の地位からはずそう、と思うのでした。
【記事23に続く】
パウロ・コエーリョ著『アルケミスト 夢を旅した少年』
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