『小説アルケミスト』あらすじ・要約まとめ#23

読書

パウロ・コエーリョ著の小説『アルケミスト 夢を旅した少年』。

前回の記事からの続きです。

自分を風に変えるため、少年は砂漠と対話し、次に風と対話しました。

次に太陽と話をするため、一帯は砂嵐となり、砂が空をおおうのでした。

太陽との対話

「もし、愛についてご存知であれば、あなたは大いなる魂のこともご存知に違いありません。それは愛によってできているからです」

と少年は太陽に言いました。

「わしのいる場所からは」と太陽が話し始めます。「大いなる魂を見ることができる」

わしは地球に生命とぬくもりを与え、地球はわしに生きていく理由を与えているのだ、と太陽。

太陽は地球の大いなる魂のことをよく知っていて、かつてお互いに長いあいだ話し合ったことがあるとのことです。

そのとき大いなる魂は太陽に、すべてが一つだという事実を知っているのは、今のところ鉱物と植物だけだと言いました。

また、鉄も銅も金もそれぞれがかけがえのない存在だから、同じになる必要はないのだということです。

すべてを書いた手が、天地創造の第五日で作業をやめていれば、地球は平和のシンフォニーを奏でていただろうに、第六日目もあったのだ、と太陽は言いました。

太陽も愛を知らない

太陽は、人間の存在が地球の平和を乱しているというような言い方をします。

少年は太陽に対し、あなたは遠くから観察しているから賢いのだと言います(ちょっとした皮肉なのかも)。

「しかし、あなたは愛については何も知りません」と少年。

すべてのものがそれぞれの運命を持っているのは事実だが、運命を実現したあとは自分自身をよりよいものに変えていかなければなりません。

少年の言っていることについて考えた太陽は自身をもっと輝かせ、横で会話を聞いていた風は楽しんで、さらに強く吹くのでした。

愛には大いなる魂を育てる力がある

そのために錬金術は存在するのだ、と少年は続けます。

鉛が鉛としての役割を果たしたあとは、金に変わる必要があり、錬金術師がそれを行う。

私たちが今の自分よりよいものになろうと努力すれば、自分のまわりのすべてもよくなっていくのです。

愛とは、風のように動きまわるものでも、太陽のようにすべてを遠くから見守ることでもありません。

愛とは、大いなる魂を変え、よりよいものにする力です。

大いなる魂を育てるのは私たちで、そのために愛の力が役に立つのです。

「わしは創造物の中で最も賢い者だと言われている」という太陽ですが、それでも少年を風に変える方法は知りません。

そこで太陽は「すべてを書いた手と話してみなさい」と少年に言うのでした。

すべてを書いた手

太陽のことばを聞いていた風は歓喜して吹き荒れ、野営地のテントなどは綱がちぎれて飛んでいきます。

動物たちはくさりが切れて自由になり、男たちは自分が吹き飛ばされないように必死でした。

少年が「すべてを書いた手」のほうに向き直ると、宇宙がしんと静まるのを感じます。

少年の心から愛の流れがほとばしり、言葉も願いごともない祈りが始まります。

静寂のなかで、少年はすべてを悟ります。

砂漠も風も太陽も人間も、自分たちがなぜ創られたのか知りませんでした。

しかし「手」はこのすべてに対し、理由を知っていました。

少年は大いなる魂に到達し、それが神の魂の一部であることを知り、神の魂は彼自身の魂であることを悟りました。

そして、少年自身が、奇蹟を起こすことができると知ったのでした。

そして少年は伝説となった

この一連の出来事は『砂漠の首領に挑戦して自分を風に変え、軍隊の野営地をほとんど破壊した少年』という伝説となりました。

その後、何世代にもわたってアラブ人たちに語り継がれることとなります。

砂嵐がやんだとき、少年はもといた場所にはおらず、野営地の反対側にある見張り台の横に立っていました。

恐れおののく男たちのなかで、微笑んでいるのが二人、それは錬金術師と首領です。

次の日、首領は少年と錬金術師に別れを告げ、(金は返してくれなかったけど)安全な場所まで護衛隊をつけてくれたのでした。

記事24に続く

パウロ・コエーリョ著『アルケミスト 夢を旅した少年

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