パウロ・コエーリョ著の小説『アルケミスト 夢を旅した少年』。
前回の記事からの続きです。
錬金術師と砂漠を旅するなかで、少年は自分の心と確固たる信頼を築きます。
そんな心が危険を知らせるや否や、武装した部族の男100人に取り囲まれるのでした。
3日間の猶予をもらう
二人はスパイだと疑われ、近くの軍隊の野営地に連行されます。
男たちにいろいろ尋問されるも、錬金術師は冷静に答えます。
少年は怖くて何も言えずにいましたが、錬金術師は男たちを一時的になだめるため、少年のかばんに入っていた金貨を全部、首領にさし出しました。
錬金術師は、少年も錬金術師であり、自然の力を理解していると言い、首領は興味を示します。
そして首領に、少年は自分を風に変えてみせるから3日間の猶予がほしいと話しました。
できなければ命と引き換えということを条件に、首領は了承するのでした。
お金で命を救えることはめったにない
こうして野営地内では自由行動ができるようになり、少年はやっと話せるようになり、まず勝手にお金を渡してしまった錬金術師に不満をぶつけます。
「僕が一生かかってためたものだったのに!」
「でも、もし死んでしまったら、それが何の役に立つのだね?」
錬金術師は、お金のおかげで自分たちの命が3日間だけ助かった、お金で命を買えるのはめったにないと説明します。
少年は3日後に自分が風になるという話になっていましたが、彼はまだどうしたらいいのか見当がつきません。
恐れが夢の実現を不可能にする
「恐怖に負けてはいけないよ」と、錬金術師はめずらしくやさしい声で言います。
自分の運命を生きてさえいれば、知る必要のあるすべてのことを人は知っています。
しかし「失敗するのではないかという恐れ」が、夢の実現を不可能にしてしまいます。
もし少年が自分を風に変えることができなかったら、夢を実現する途中で死ぬことになります。
それでも自分の夢が何か知りもしない何百万人よりもずっといい死に方だ、と錬金術師は説明しました。
さらに、死の脅威は自分の人生について、多くのことを気づかせてくれるものだと言うのでした。
魂の完全性を物質界にもたらす
1日が過ぎて少年は、自分がどうすれば風になれるかまだわからないと錬金術師に相談しました。
錬金術師は少年に哲学的なアドバイスをします。
「世界は、神の、目に見える側面にすぎない。そして、錬金術とは、魂の完全性を物質界にもたらすことなのだ」
そして彼自身は自分を風に変える方法をすでに知っていると言いました。
2日目の午後からは、少年は崖から砂漠をながめ、自分の心に耳を傾けて過ごしました。
自分を風に変えるという少年を見にゆこう
3日目になり、首領は部下たちを集め、錬金術師も呼び、みんなで少年のところに来ます。
少年は彼らを崖のところに案内し、少し時間がかかると言い、首領は快く了承します。
少年は地平線を眺め、ここから砂漠と少年との対話が始まります。
【記事22に続く】
パウロ・コエーリョ著『アルケミスト 夢を旅した少年』
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