パウロ・コエーリョ著の小説『アルケミスト 夢を旅した少年』。
前回の記事からの続きです。
黒ずくめの男の正体は錬金術師で、少年の勇気を試していたことがわかりました。
次の朝、少年の見たヴィジョンの通り、武器を隠し持った他部族の男たちが500名、オアシスに侵入してきます。
少年の予言は的中
彼らはオアシスの中心にある白いテントに着くと、ライフルと三日月刀を取り出してそのテントを襲撃しますが、テントの中は空でした。
林に隠れていたオアシスの男たち2000人が、その侵入者たち500人を取り囲み、隊長格の男1人を除いてすべて殺害しました。
捕らえられた隊長の男は族長の前に引き出され、なぜおきてを破ったのか問いただされます。
隊長が言うには、長引く戦闘のために部隊の食料と水が尽き、部下たちが疲れ果てていたため、やむを得ずいったんオアシスを占領しようと決めたということでした。
族長は、気の毒だけどおきては神聖なものだと言い、隊長はやしの木につるし首という不名誉な死を与えらました。
少年は功績として金貨50枚をもらい、族長から相談役になってくれと頼まれるのでした。
おまえの運命がここに来させたのか?
その日の太陽が沈んだ後、少年は錬金術師を探しに南へ向かいました。
するとテントを見つけ、近くを通ったアラブ人の一団にそこは魔神の住む場所だと教わったので、少年は座って待ちました。
月が高くなる頃に錬金術師が現れ、少年は「来ましたよ」と一言。
「来るべきではなかったのに」と返す錬金術師。「それともお前の運命が、おまえをここに来させたのか?」
とはいうものの、錬金術師は少年をそれなりに歓迎し、テントの中に招待して、一緒にタカを食べようと勧めます。
このタカは昨日自分が見たやつかな、と少年は思いますが、錬金術師が火を起こしたとたんにおいしそうな香りがテントに充ちました。
錬金術師の役割
錬金術師が言うには、少年がオアシスに来て、自分の助けが必要になることを、風から聞いたということです。
少年は、それ僕じゃなくてイギリス人のことですよと言いますが、錬金術師はイギリス人も正しい道すじにいると答えます。
そして「人が本当に何かを望むとき、全宇宙が協力して、夢を実現するのを助けるのだ」と、かの王様と同じことを錬金術師も言いました。
少年は自分が運命に向かっているから、彼が助けに現れたのだと理解します。
ただし錬金術師の役目は少年に何かを教えるというよりも、少年を宝物の方向に向けさせるということでした。
少年は金貨ももらったし、何よりもファティマという大切な人もいて、宝物はもう見つけたと言い張ります。
しかし錬金術師、金貨も彼女もピラミッドで見つけたわけじゃないよね、と言うのでした。
これまで学んだすべてのことが意味を持つ
少年は痛いところをつかれたという感じになり、しばらく2人は黙って食事をします。
ぶどう酒を飲み、少年が幸せそうになったのたの見て錬金術師は、今は楽しんで今夜はよく休みなさいと彼に話しました。
「お前の心があるところに、お前の宝物が見つかる、ということを憶えておくがよい。そこにたどり着くまでに学んだすべてのことが意味を持つために、おまえは宝物を見つけなければならないのだ」
そして少年に、今持っているらくだを売って、馬を買いなさいと言うのでした。
【記事17に続く】
パウロ・コエーリョ著『アルケミスト 夢を旅した少年』
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