『小説アルケミスト』あらすじ・要約まとめ#11

読書

パウロ・コエーリョ著の小説『アルケミスト 夢を旅した少年』。

前回の記事からの続きです。

イギリス人と話をしていて、彼の持っている本が読みたくなってきた少年。

本を貸してもらい、しばらく読んでみることにしました。

エメラルド・タブレットの数行

借りた本はどれも少年の理解力を超えた内容でしたが、すべての本を通して共通する一つの考えに気づきます。

それは、すべてのものはただ一つのものがさまざまに現われたものにすぎないということです。

錬金術で最も重要な文献は、エメラルド・タブレットに書かれた数行の文章らしいです。

「ではなぜこんなにたくさんの本が必要なの?」と少年はイギリス人に聞いてみると「その数行を理解するためだよ」という返答。

ただしイギリス人は、自分で言ったことを本気で信じてはいない様子です。

少年が最も興味を示したのは有名な錬金術師たちの物語でした。

金属を何年も熟することで残るのは「大いなる魂」だけで、それは地球上にあるすべてのものを理解させてくれるらしいです。

錬金術は日常生活で学べる

何でもすぐに単純にしようとする少年に対して、イギリス人はちょっといらだちます。

錬金術の手順である「大いなる作業」によってできた液体の部分は「不老不死の霊薬」と呼ばれ、個体の部分は「賢者の石」と呼ばれます。

錬金術師の多くは長らく研究を続けるうちに世の中の虚飾を捨て去っていました。

「彼らは、金属を純化することは自分自身を純化することだと発見したのだよ」

イギリス人のこの話を聞いて少年は、クリスタル商人に言われたことを思い出します。

「クリスタルをみがくことは、否定的な考えから自分を自由にするなのだ」

錬金術は日常生活の中で学べるという少年の仮説は確信に変わっていきました。

なぜ錬金術の本は複雑なのか

大量の金属を金に変えることができるという「賢者の石」に、少年は興味を持ちます。

しかしそれを作るための「大いなる作業」の方法がさっぱりわからないのでした。

少年はイギリス人に「なぜものごとをそんなに複雑にしてしまうのか」と聞いてみました。

イギリス人が言うには、誰でも鉛を金に変えることができたら、金が価値が失ってしまうから、深く研究をする人だけが達成できるようになっている、というもっともらしい回答。

そんな錬金術師を見つけるために彼は砂漠のまん中まで来たのです。

少年はあまり納得がいってない様子でイギリス人に質問を続けますが、若干うるさがられます。

そしてイギリス人にとって、キャラバンを観察するという行為はあまり向いていないようでした。

その人その人の学び方がある

少年はイギリス人に本を返し、ざっくりと以下のような感想を述べます。

  • 世界には魂があり、それを理解する人はものごとのことばを理解できる
  • これまでに多くの錬金術師が自分の運命を実現してきた
  • すべてのものごとは単純であり、エメラルドの表面に数行の文章でまとめられる

しかしながら簡潔にまとめられすぎて、イギリス人は失望します。

彼が興味を持つ細かい部分を少年がスルーするのは、少年の魂が初歩的だからだと彼は判断します。

実際は魂のレベルとかではなく、その人その人の学び方があるということで、少年はつぶやきます。

「でも僕たちは二人とも、自分の運命を探究しているのだ。だからそのことで僕は彼を尊敬している」

「私は生きています」らくだ使いの話

キャラバンは部族間の戦争に巻き込まれる可能性がありましたが、らくだ使いは心配いないようでした。

「私は生きています」と彼はある夜に少年に語り、以下のように続けます。

私は食べているときは食べることしか考えず、行進しているときは行進に集中します。

なぜなら私は過去にも未来にも生きていなくて、今だけにしか興味をもっていないから。

常に今に心を集中していれば、幸せになれます。

人生は私たちにとってパーティであり、お祭りでもあります。

「なぜなら、人生は、今私たちが生きているこの瞬間だからです」

それから二日ほどしてキャラバンはオアシスに到着するのでした。

記事12に続く

パウロ・コエーリョ著『アルケミスト 夢を旅した少年

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