『小説アルケミスト』あらすじ・要約まとめ#10

読書

パウロ・コエーリョ著の小説『アルケミスト 夢を旅した少年』。

前回の記事からの続きです。

ちょうどエジプト行きのキャラバンに同行できるようになった、幸運続きの少年。

イギリス人と仲良くなって話しているところでキャラバンのかしらに呼ばれます。

キャラバンのかしら

200人の人間と400頭の動物を前に、砂漠の旅路を浮気な女に例えて説明するキャラバンのかしら。

みんなそれぞれの信ずる神様にかけて、私の命令に従ってください、と彼は言います。

各人が自分の神様にぶつぶつと祈りを捧げました。

少年はイエス・キリストに誓い、イギリス人は黙ってました。

「偶然というものはない」とイギリス人は、話を再開しようとしたけどキャラバンが動きだしてぐだぐだに。

でも少年には彼の言わんとしていることを理解していました。

不思議なものごとは鎖のようにつながって起こるということです。

同じ夢を繰り返し見て、王様に会い、泥棒に会った結果、クリスタル商人に出会い……と、すべてはつながっているのでした。

らくだ使いの言葉を理解する

キャラバンは東に向かって進み、イギリス人はほとんどの時間、読書をしていて、少年は砂漠を進む動物や人々を静かに観察していました。

少年はらくだ使いの一人と少しずつ話すようになります。

「砂漠はとても大きく、地平線はとても遠いのです、人は自分を小さく感じ、黙っているべきだと思うようになるんだ」

こんなふうに詩的なことを言うらくだ使い。

砂漠の風を感じると、少年は同じ風を故郷で感じていたことを思い出します。

羊たちも新しい飼い主に慣れただろうし、呉服屋の娘もきっともう結婚しただろうなと、少年はしばし物思いにふけります。

少年はらくだ使いの言葉の意味を直感的にわかったことを嬉しく思いました。

このらくだ使いのおじさんも「宇宙のことば」を学んでいるのかもしれません。

少年は、直感とは、魂が急に宇宙の生命の流れに侵入することだと理解し始めました。

同じ者の手によって書かれている

砂漠は岩場になったり砂地になったりしていて、キャラバンは必要に応じて迂回する必要もありました。

しかしどんなに遠回りしても、基本的にはオアシスのありかを示す星を目指して進むのでした。

少年もはじめはイギリス人のように自分の本を読もうとしていましたが、この砂漠ではキャラバンを観察したり風の音を聞いているほうがずっとおもしろいと気づきます。

ある日、少年と親しくなったらくだ使いは自分の身の上話をしてくれました。

彼はらくだ使いになる前はナイル川の近くで果樹園を営んでいたとのこと。

平和が続くものだと思っていたところに、ナイル川が氾濫し土地が荒廃して、他に生きる方法を探さざるをえなくなりました。

しかしその災害によって、彼はアラーの言葉を理解することとなりました。

僕たちはなんであれ、自分の持っているものを失うことを恐れています。

「しかし、自分の人生の物語と世界の歴史が、同じ者の手によって書かれていると知った時、そんな恐れは消えてしまうのです」

錬金術での「大いなる魂」

キャラバンの旅路の界隈で、部族間の戦争が始まったという情報があり、場の空気に恐怖感がただようのを少年は感じます。

あと戻りができなければ、前に進むことだけを心配すればいい、と情報を提供してくれたらくだ使いは、不思議な言葉「マクトゥーブ」でしめくくりました。

少年はイギリス人に、キャラバンをもっと観察したほうがいいと言い、イギリス人は、君こそもっと本を読むべきだと返します。

ある夜、よく眠れないイギリス人は少年を起こし、一緒に散歩に出かけました。

少年のこれまでの経緯をイギリス人は興味深く聞き、すべてにあてはまる原則についての話を始めます。

「錬金術では、それは『大いなる魂』と呼ばれているんだ。君が何かを全身全霊で欲した時、君はその『大いなる魂』と最も近い場所にいる」

それはいつも前向きな力として働くのだ、とイギリス人は続けます。

その「ことば」を理解していたから

鉱物も植物も動物も、単なる思いでさえ、地上にあるすべてのものは魂を持っている、イギリス人。

地球も生きていて魂があるから、すべてのものは常に形を変えています。

僕たちはその魂の一部だから、地球の魂が僕たちのために働いていることに、ほとんど気づきません。

でも実際、クリスタルの店ではグラスでさえ少年の成功を助けていて、彼もそれに気づいていました。

少年はキャラバンと砂漠を観察していて、それらがお互いに同じことばを話していることをイギリス人に説明しました。

イギリス人と少年のどちらかが、そのことばを理解せず、個人的な勇気だけでキャラバンに加わっていたら、困難な旅になっていたかもしれません。

「僕ももっとキャラバンを注意して見たほうがいいのかもしれない」とイギリス人が言いました。

「そしてぼくも、あなたの本をもっと読んだほうがいいのかも」と少年は言いました。

記事11に続く

パウロ・コエーリョ著『アルケミスト 夢を旅した少年

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