古賀史健著『文章講義』要約#10 可視化して構成を考える

読書

20歳の自分に受けさせたい文章講義

前回の記事からの続きです。

今回は「面倒くさい細部」の描写によって、リアリティが得られるという話をもう少し掘り下げます。

そして文章構成の「絵コンテ」をつくり、可視化することの大切さについて考えていきます。

また文字量を考えるにあたっても、頭で数えるのではなく、眼で見る習慣をつけることが大切です。

細部の描写によって説得力が生まれる

たとえば「コーヒーを飲むと、眠気が覚める」ということは誰でも知っているでしょう。

ここに「カフェインの効果によって」という言葉をはさむと、より具体的になります。

さらに踏み込んで「カフェインが脳内のアデノシン受容体に働きかけるため」と付け加えれば、話のリアリティや説得力がかなり増すのです。

別の例として、大渋滞につかまったことを表現するために「車内でほとんど動けないまま、ミスチルのベスト盤を聴き終えてしまった」と書くのもよいと思います。

これはレトリックではなく、細かい事実を忠実に書いただけだということに注目してください。

本当のリアリティは、日常の何気ないところに転がっている「面倒くさい細部」を描写することによって生まれるのです。

文章構成は可視化して考える

著者の古賀氏は執筆するとき、手元に大小2つのメモ帳を置いているそうです。

小さいメモ(文庫サイズ)には思いついたフレーズをメモし、大きいメモ(A5サイズ)は構成専用として使っているとのこと。

文章の構成を考えるときは、頭のなかだけではうまくまとまらないので、書き出す必要があるのです。

構成を考えることと、文章を考えることは別の作業なので、混同しないようにしてください。

映画でカメラ割りなどを考えるときは「絵コンテ」というものが使われ、簡単な絵や文字に起こして可視化されます。

文章の構成にもこの「絵コンテ」の発想が大切です。

頭のなかの「ぐるぐる」は、可視化することでようやく客観視できるのです。

図解で「流れ」と「つながり」を明確にする

具体的な「絵コンテ」のつくり方は、人それぞれの方法があります。

マインドマップを描くのもいいし、ふせんにキーワードを書いて組み合わせるやり方もあるし、単純な箇条書きが結局いちばんやりやすいかもしれません。

著者はその上で、文章を図にして考えることを勧めます。

図解することによって「流れ」と「つながり」が明確になるというメリットがあるからです。

まずキーワードを書き出し、それをマルや四角で囲み、矢印でつなげていく、というのが具体的な方法です。

シンプルな方法ですが、これをやるだけでもかなり思考が整理されていきます。

随所に「なぜか?」を入れるのがポイントです。

文字量を眼だけで把握する習慣をつける

文章を書くにあたって、文字量を考えることも避けて通れません。

仮に「1600文字で、序論・本論・結論に分けて書く」という条件があるとします。

無難な比率は(序論2:本論6:結論2)くらいであり、文字数で振り分けると序論320文字・本論960文字・結論320文字になります。

このとき「320文字だったら、だいたいこれくらいの文量だな」とイメージできるかどうかが大切です。

頭で計算するというよりも、パッと眼で見て把握する習慣をつくっていきましょう。

(ちなみに僕は、見出しと見出しの間の文字数くらいはパッと見てだいたいわかるようになりました。この一節はだいたい300文字くらいです)

文字量をコントロールする能力

著者の場合はワープロソフトを「40文字 × 30行 = ページ1200文字」と固定しているそうです。

なので1600文字と聞いたら「だいたい2ページ目の10行あたりまでだな」と、すぐイメージできるとのこと。

(僕の場合は行間にスペースばかり入れるので、ページ数で文字量を換算しにくいものの、かなり参考になる話です)

文字量をコントロールする能力を身に付けるためにも、ブログを書く場合などは毎回同じくらいの量と決めておくのもよいでしょう。

論の展開だけでなく、文字量まで自在に「構成」できれば、文章のリズムはもっと向上していくはずです。

記事11に続く

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