『運命を拓く』要約と感想その14。想像力は創造力

瞑想

中村天風著『運命を拓く 天風瞑想録

前回の記事では第十一章「勇気と不幸福撃退」の項を要約しました。

今回は第十二章「理想と想像」について。

理想という言葉は知っているけれど、その本当の意味を正しく理解して使っている人は、はたしてどれだけいるでしょうか。

人間の心に描く理想というものの力をこれから説明していきます。

理想とは立派な宗教

心理学では理想を「継続する組織のある連想」と定義しています。

立派に組み立てられた考え方が変わらず保たれている場合、それが一つの理想と呼べるということです。

哲学的には理想は立派な「宗教」といえます。

宗教の「宗」は心という意味であり、宗教は魂と心をつくり上げるものだと解釈してください。

理想が楽しければ楽しいほど、自然に人格の向上につながります。

だから神仏を信仰しなくても、理想は立派な宗教といえるのです。

神仏を崇める必要はない

理想の階級が高いほど、その人は勇ましく活きることができます。

理想と信念がセットになると、万難を突破して必ず理想を成し遂げられるようになります。

何の理想もなく漫然と生きている人は、どんなに神仏を信仰していても、はかない人生に終わってしまいます。

神や仏を崇めずとも、立派な理想の中に活きている人は、宗教的な生活をしているといえます。

神に頼むのであれば、自分のことばかりではなく、世の中の人々の幸せを願うようにしましょう。

心の鋳型どおりに現実が造られる

宇宙本体の力は、人間の心の状態を鋳型として物事を現実化させます。

だから健康的にも運命的にも、気高い理想を描いておく必要があります。

心の鋳型どおりに現実を造り出そうとする力が自然に働くという、宇宙の法則があるのです。

どんな場合があっても理想は野心的であってはいけません。

野心的な理想というのは心の統一を破るものなので、よくない結果となります。

僕たちには何万年も前から元がある

僕たちは偶然この世に生まれてきたわけではありません。

この時代にここに生まれたのは、何万年も前からこの世に生まれ出るような元があったからです。

活きることに対して苦しみや悩みばかり考えてしまう人は、ノイローゼのようなものです。

わざわざ自分の人生を悩みの泥沼に叩き込まずに、そこから浮かび上がってきましょう。

人間は健康的にも運命的にも、感謝する生活ができるように作られているのです。

宇宙とつながっていると意識しよう

心の生活を豊かにするために、自分を宇宙本体と同じように「真、善、美」であらしめましょう。

そして宇宙本体からの力を、自分の生命に受け入れる用意をいつでもしておきましょう。

自分というものは宇宙本体と常に一体である、ということを信念してください。

見えざる力との結合を忘れないでください。

水源のない川はありえないように、僕たちの存在は命の源である宇宙本体によって保たれています。

「なりたいな」ではなく「なっている」

理想を心の中に描くと、ただの空想になります。

こうなったらいいなという願うだけでなく、理想がすでに成就してしまったときの気持ちや、姿を心に描くのです。

これは紙一重の違いに思えるかもしれません。

でも「なりたいな」ではなく「なっている」姿を心に描くこと、霊の世界では本当にそうなっているのと同じになります。

たのもしい理想をつくるためには、心の中の想像を上手にコントロールしなければいけません。

「想像力」は「創造力」

想像は人類進歩の源泉だともいえます。

人間に想像力がなかったら、芸術も科学も、哲学も宗教も、なにも進歩しなかったはずです。

現実の事実を中心に、人はいろいろと心の中で脚色し、存在していない事実をもいろいろ思い考えます。

この想像の作用が組織的になり現実味をもつと、宇宙の創作の力と合体して事実化していくのです。

ゲーテは「文豪とは想像力を他の人よりも豊富にもつ人のことである」といっています。

詩人は詩的に、哲学者は哲学的に、普通の人よりも想像を組織的に組み立てて、そして内容が統一されています。

他者貢献を意識したほうが想像が統一される

多くの人が心の中で思考していることは、想像と定義できないほどに散漫でめちゃくちゃです。

そのせいで運命も健康も破壊され、人生の価値がなくなってしまうのです。

観念の世界は絶対に自由だといえども、やはりある程度の制約を与える必要があります。

健康を望むなら、健康な体をつくって人の世のために貢献をしようと想像してください。

富や地位を望むにしても、やはり自分本位ではなく誰かの役に立とうとする、階級の高い理想を持ってください。

どんな場合にも、自分の魂を汚さない、最高最善のものを保持する必要があります。

かりそめにも怒り、悲しみ、怖れなどを入れてはいけません。

宇宙本来の意図に沿う

想像作用を上手に使えるようになればなるほど、理想も高級になり、その人の人生が価値あるものになります。

これは神秘でも奇跡でもなく、伸びよう、広がろうとする宇宙本来の意図です。

健康も幸運も、人間に当然として与えられた感謝すべき権利なのです。

今まさに喜びと感謝に満たされている、と思うのが大切です。

すると宇宙霊のもつ万能の力が自分の中にあると気づけます。

次の記事に続く

中村天風著『運命を拓く 天風瞑想録

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