『運命を拓く』要約と感想その11。自分をいつわらない

瞑想

中村天風著『運命を拓く 天風瞑想録

前回の記事では第九章「第一義的な活き方」の前半部分を要約していきました。

今回は後半部分です。

「できるだけ平素、幸福の方面から人生を考えよ」

自分の心でもってすべてのことを幸福にしてしまいましょう。

このような苦しいときも楽しむといった態度を持つというのは、言うだけなら簡単かもしれません。

でも天風氏の本を読みこんでいると、鍛錬すればできるようになるかも、という前向きな気持ちになってくるから不思議です。

いつわりのない本物の感情

つまらないことに泣いたり、怒ったり、心配する僕たちの感情は、本物の感情ではないと思ってください。

修行を積むことで本当の気持ちが出るようになり、感情をいつわらなくなります。

今までの汚れた心を綺麗にしようという「望み」があるのなら、環境を呪い、運命を悲しむことをやめましょう。

生きていることを、ただありがたく感謝しましょう。

一切を感謝と歓喜に振り替えようとするのは、宇宙霊と結合する努力をしているのと同じことになります。

観念要素の更改(鏡に向かって自己暗示)を念をいれてやりましょう。

報酬を目的にしないように

ただし、幸福になりたいとか、健康を手に入れたいとかの「報酬」を目的にしてはいけません。

ただ人間として活きればいいのです。

そうすれば、造物主の無限智と、人間の潜在意識が冥合し、自然的活動能力というものが生まれます。

光が閃けば闇は消えるように、歓喜の世界に悲哀はなく、感謝の世界に不満はありません。

同時に反対のものは出なく、片方が出れば、もう片方は引っ込むようになっているのです。

宇宙霊の心は「真、善、美」

宇宙霊の心には「真、善、美」以外はありません。

たいていの人がいつわりの多い人生を送っています。

自分自身に嘘をつかず「真」の心になれば、限りない力が自分から出てきます。

偏りのない愛をもって、ものに接する行為や言葉が「善」です。

身内など、自分の周囲だけに愛情を持つのは、本当の「善」とはいえません。

「美」とは調和のことであり、名人が描いたという絵であっても調和がとれていない場合、それは「美」ではありません。

あらゆる物事に対し、それが「真、善、美」であるかを常に考えるようにしましょう。

自我の確立のための自己認証

天風氏は誰かと握手するとき「自分は宇宙エネルギーを受け入れて、あり余るほどあるから、この人に伝えよう」という気持ちで手を握っていたとのこと。

なんでも「心一つの置きどころ」だと悟ればまったく人生が違ってきますが、そうなるには人にも物にもとらわれないようにしなければなりません。

たいていの人は自我の確立ができていないので、あらゆる欲望にとらわれてしまいます。

自我の確立こそが生活する上で最も大切なことであり、そのためには「自己認証」をすることです。

地位や名誉にとらわれない

名誉や利欲に迷うと、どうしても自分の心が宇宙の本質に合流しなくなってしまいます。

報酬を自分から求めず、ただ恵まれるものをありがたく受け取りましょう。

宇宙霊と同じ気持ちになっていればよく、そうすれば限りなく生きがいを感じることができます。

心の中を本当に豊かにする、これを座右の銘としましょう。

事業をやっている人も、野心的な欲望にとらわれていたら、立派な事業家だとはいえません。

最終的な目的は世のための貢献であるべきです。

ロックフェラー三世の話

天風氏はロックフェラー三世と会食したことがあるそうです。

ロックフェラー氏には巨万の富があるにもかかわらず、質素な暮らしぶりで、タクシーを呼べばいいということで自家用車も持っていませんでした。

腕時計はお祖父さんが昔15円で買ったというセイコーのものをはめていて「ちっとも狂わない」と満足しています。

「ただ世の中の人が、私の事業を通じて幸福になってくれれば、それでいいのです」と彼は言っていたそうです。

これからの世界のために

また天風氏は、21世紀は思想的にも事業的にも日本が世界をリードすると予想していました。

だからみんなには、自分の人生を研ぎ上げ、世界中の人々を平和な気持ちにするという、でっかい欲望を持ってほしい、と言います。

濁り水にわずかなミョウバンを入れるとパーっと清くなるように、目覚めた人は、少数であっても世の中に大きな光明を点じるのです。

この宇宙の中には、すべてを完全にあらしめたいという力が働いています。

人間というのは完全にできるようにできているのだから、完全にできるという信念を持ちましょう。

何百年後かには、きっと世界中の人がこの心身統一法を実行しているはずです。

常に「人の強さ」と「真、善、美」のみを考えるよう心がけましょう。

次の記事に続く

中村天風著『運命を拓く 天風瞑想録

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