『これも修行のうち。』要約#03 感覚に意識を向ける

瞑想

反応しない練習の実践編『これも修行のうち。

前回の記事からの続きです。

今回から「感覚のプチ修行」について紹介していきます。

外からの刺激に反応することを繰り返すうちに、心は汚れていきます。

大切なのは、その汚れをどうやって洗い流すか。

イライラ、モヤモヤなど不快感に陥ったときの合言葉は「感覚に帰ろう」です。

意識を体の感覚に向けなおすことは抜群の効果を発揮するのです。

反応を止めるためにやること

疲れたときや感情がザワついたときに「別のことをして気分転換する」のは誰でもやったことがあると思います。

しかしこの方法は、別の問題・悩みを引き起こすことになるので、本当に正しいとは言えません。

ストレス解消の方法が食べることだったら太ってしまうし、ゲームだったらハマりすぎた後に「時間を無駄にした」と後悔することも。

心の性質上、反応から次の反応に映っている限り、その働きは止まりません。

憂さ晴らしのつもりで別の行動を取ると、心が休まるヒマがないのです。

なので余計な反応を生み出さないために、シンプルに「感覚」に意識を向けましょう。

感覚に意識を向ける

僕たちは普段、思考で反応するか感情で反応するかのどちらかがほとんどです。

気分転換を試みても、反応そのものが止まらないので疲れが取れません。

だから「感覚に意識を向ける」という方法が効くのです。

このことを現代では「マインドフルネス」と呼び、古代インドでは「サティ」と呼んでいました。

どちらも「気づき」という言葉に置き換えることができます。

心の中にあるものを「ある」と気づくこと。

気づきによって快適な心がつくられ、理解力や状況判断力、記憶力などのあらゆる能力が育っていきます。

「今、心にはこんな反応がある」と客観視することが、快適な心と生活をつくるうえでの1歩となります。

心のアンテナ

体の感覚に気づくプチ修行を紹介します。

まず目を閉じて、聞こえているあらゆる音に注意を向けてください。

人の声でも環境音でもいいので、ただ聞こえるということを理解します。

次に目を閉じたまま、目の前の暗闇を見つめてみてください。

何かチカチカするものがあったり、色が変わったりすることに気づくはずです。

そのあいだに、現れていた感情・思考・意欲などは消える、もしくは弱まるかもしれません。

視覚の次は触覚、肌の感覚に意識を向けてください。

目を閉じたまま、手を「見る」という感じで、握ったり開いたりして感覚を意識します。

呼吸と同時に起こるお腹のふくらみ、ちぢみも見てみてください。

次に、座っていても立っていてもいいので、足の裏の感覚に意識を向けます。

歩く場合、足を「持ち上げる」「運ぶ」「下ろす」と言葉にしながら、感覚を感じ取りましょう。

以上のようにして感覚を意識し念じる行為が、シャワーのように心を洗ってくれるのです。

何かの作業の前に30秒だけ、体の感覚に意識を向けましょう。

ちょっとした反応を洗い流すためには30秒あれば大丈夫です。

ラベリング

今やっていることを言葉で確認する「ラベリング」は、気づきの力を高めるのに役立ちます。

たとえば着替えるときでも「今から服を着る」「袖に腕を通す」「ボタンをはめる」と、そのときの行為を言葉にします。

ラベリングによって、あらぬ方向に行ってしまいがちな意識を「今ここ」に戻すのです。

このラベリングは、今の自分の気持ちに対しても行なうことができます。

怒りを感じたら「怒りがある」と確認、何か嫌なことを思い出したら「過去の記憶」というように言葉で確認してください。

どんな言葉を使うかはあらかじめ準備しておいたほうがよく、それには本書の知識も役立ってくるはずです。

心の指さし確認

いつでも「心の指さし確認」を心がけるようにしましょう。

たとえば外に出た際「今から家の鍵をかけます」と心の中で確認してから実行すれば、後になって「家の鍵かけたっけ?」と心配になることもありません。

歩くときも歩くことに集中し、途中でふと周囲のものに反応するかもしれませんが、もしも気づけたならばその反応にもラベリングします。

ラベリングによって気づきの力を育てていきましょう。

記事04に続く

草薙龍瞬著『これも修行のうち。実践!あらゆる悩みに反応しない生活

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