異世界ものの話で僕が好きな作品を3つ挙げるとしたら『本好きの下剋上』『転生したらスライムだった件』そして今回紹介する『オーバーロード』。
今回、小説の9巻をオーディブルで聴いたので、ネタバレしない程度に感想を書いていきます。
(とはいえ1〜8巻に相当する部分については自然に書いてしまうかもしれないので内容を知りたくない方は気をつけてください)
主人公アインズの力が桁違いに圧倒的なので、善とか悪とか以前に、読んでいる僕としては、普段なんて些細なことで悩んでいるんだろうと思いました。
いろんな人目線で進行する
オーディブルではベテラン声優の吉開清人さんと森史絵さんの二人で朗読されています。
この二人で40人分くらい声が使い分けられてほとんど違和感なく聴けるのはほんとすごいなと思います。
このオーバーロードという作品の主人公は最強のアンデッド、アインズ・ウール・ゴウンではありますが、彼の視点で語られる部分は以外と少ない。
最初のほうは若い皇帝ジルクニフの視点だし、章ごとに王国の戦士ガゼフやカルネ村のエンリが主人公格になるので読んでいて飽きません。
それを平然とやってのける
いくらアインズ勢が強すぎるとはいえ、アインズからしたら大したことない(?)人たちの戦いも色あせることなく面白いのが本シリーズのすごいところだと思います。
アインズはいわば狂言回し的な存在で、圧倒的な力を前に王国や帝国の人間たちがどのように振る舞うのか、それぞれに感情移入することができます。
アインズに残る、元現代人としての素朴な感覚にも笑わされます。仲間たちや皇帝ジルクニフを相手に、実はかなり見栄を張っているという……。
それでもやはり、ゲームの延長で異世界に移ってきた存在として、軽い気持ちで恐ろしい事をやってのける感じには鳥肌が立ちました。
細かい設定が魅力
読んでいて飽きないのには、設定が何かと細かいからというのもあります。
たとえばカルネ村のエンリが持っているゴブリンの角笛。
かつてのゲームの世界でも大したことのないアイテムとして扱われていたらしいです。
しかしこの角笛、とある条件を満たすことによってものすごい効果を発揮することが本編でも明らかになります。
場面が変われば別の小説を読んでいるような気分になれるからこそ、オーバーロードシリーズはたくさんの人に長く愛されているのだと思います。
もっと強い奴なんているのか?
相変わらず最強っぷりが目立つアインズ・ウール・ゴウンですが、彼でも警戒している存在もいるにはいます。
それはアインズと同じように元々のゲームからこの世界に移ってきた他の「プレイヤー」と呼ばれる存在。
アインズいわく「上には上がいる」とのことですが、読んでる側としてはどんだけだよって感じになります。
彼がサラリーマン時代に可能な限りのお金と時間を費やし、ゲーム内でも屈指の強さを誇るキャラになったとします。
ただし時間や知識はともかく、もともと富裕な人が同じくらいの情熱をゲームに向けたら、課金額はすごいだろうしアインズ以上に強いキャラとなってもおかしくありません。
この世界にもそんなキャラがいずれ登場してくるのでしょうか……。
終わりに
以上、オーバーロードはどの巻も表紙の絵がかっこいいし、話も大筋だけとらえるとかなり硬派かもしれません。
ただ実際読んでみると緩急がしっかりついていて、笑えるところはかなり笑えるしでバランスがすごくいいと思います。
自分は話の続きを知りたくて、時間を忘れて没頭できました(これはオーディブル版で朗読が良いのもあると思いますが)。
コミック版やアニメ版も展開されていてどれも素晴らしいのですが、この原作の文章だけで異世界に引き込んでくる感覚をよりたくさんの人に味わってもらいたいものです。
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