(↑ AIに描いてもらったイラストです。実物と違う感じだけど、これはこれで面白いので載せます)
オーディブルの朗読版で一気に聴きました。本屋大賞とかなんとか賞とか、そこまで過信はできないものだけど、僕にとっては非常に刺さった。ものの見え方が変わるレベルで。
滋賀県に住む中学生の成瀬あかりが、優秀さと変人ぶりを発揮して、いろんなことに挑戦していく話です。
題材としてはギリギリ現実にありそうな感じで、全体的にシュールな雰囲気でテンポよく進んでいきながらも、ところどころで異様に感動させられました。
なるべくネタバレしないように感想を書いていきます。
短編がつながってる構成
小説の構成としては、成瀬にまつわる短編が5編集まって1冊になっている感じです。
最初は成瀬のよき理解者である親友、島崎みゆき視点で物語が進んでいきます。(ちなみに僕はこの島崎さんが大好きです)
ずっと島崎視点で話が進むわけではなく、語り部が変わりつつも成瀬つながり(西武大津店つながり)でうまく話がまとまります。
基本的に登場人物にほとんど悪い人は出てこないので安心して読めます。だからといって退屈はしないと思います。
成瀬という人間の魅力
成瀬は非常に面白い人間で、これだと思ったことに集中力と情熱を全力で注ぎます。
しかしながら、その様子が全員に理解されるわけではなく、一部の人間にはウザがられたりします。
(そんな成瀬のことを理解し応援する、島崎を始めとする仲間たちも魅力的で、ものすごく共感できます)
そして成瀬はただ自分のやりたいことをやっているだけではなく、周囲を思いやったり、人から理解を得られたときに感動したりと、人間的な一面も見せるので、そこがまた素敵。
しがしがしてるけど面白い
滋賀出身の西川貴教さんが、帯で「こんなに滋賀滋賀してていいんですか」ってコメントするくらい、滋賀県ネタが豊富です。
自分は滋賀出身ではないけど、同じような地方出身の県民として、共感できる部分が多い。妙な懐かしささえ感じてしまうほど。
実在の人物や場所、イベントがふんだんに盛り込まれているので、登場人物も実在するのではないかと錯覚してしまいそうです。
終わりに
とにかく、1巻2巻を夢中で読み通してしまうくらいに面白いです。(今現在は2周目に入っています)
それぞれのキャラの性格がわかりやすいのと、難しい言葉を使わずともさりげない一言で深みを出す場面がかなりあり、作家先生の底力が感じられました。
成瀬の明らかな名言もいっぱいあるけど、周囲の人(語り部)にも、聞き流しそうになりそうながらも隠れ名言が多い。
とにかく読めば元気が出るので、いろんな人におすすめできる本です。
最後に、表紙をかざる絵を描いた、イラストレーターのざしきわらしさんの絵、めっちゃ好き。