小説『運転者』をネタバレしない範囲で紹介していきます。
キンドルアンリミテッドで読める(2022年7月現在)のと、高評価数が多いので自分も読んでみることに。
冒頭はちょっとしんどいです。仕事も家庭もうまくいってない主人公がこれからどうしようという感じで始まります。
でもそこで読むのをやめてしまうのは非常にもったいない。だんだん面白くなっていきます。
主人公の前に謎のタクシー運転手が現れて「僕はあなたの”運”を”転じる”のが仕事だよ」といった感じに、うまいこと言うじゃんってなります。
ただこの時点では物語はまだ始まったばかり。ここからじわじわと続きが気になりだします。
「報われない努力はない」読み終えれば納得
この本のメインテーマのひとつが「報われない努力はない」ということ。
あと「運は貯めたり使ったりするもの」みたいなことですが、これらのワードだけ聞いてもあんまりピンとこないと思います。
でも、物語を読み進めていくうちに「そーいうことなのか!」という深い納得と感動が得られます。
特に物語後半になると、主人公の父親、そしてその父親の代にまでおよぶ壮大な話になります。
ここまで来れば自然に読む手が止まらなくなるはずなので、何度でも言いますが最初つまらなくも気にせず読み進めてくださいね。
おまかせタクシー
謎のタクシー運転手は、主人公岡田を無償で、厳密には貯まってたポイントを消費しながら車を走らせます。
連れていく先は岡田にとっての、運の転機となる場所とのこと。
しかしながら、そこに行けば無条件で運命が好転するというわけではありません。
例えば最初の場所では岡田が不機嫌になってしまったため、せっかくのビジネスチャンスを逃してしまいます。
そんな岡田に運転手は「あのときあなたが上機嫌でいれば、会話が盛り上がってうまくいってたのに」と。
岡田は面食らいながらも、その運転手が言うことは真実なのだと理解していきます。
行く先々で学習する
じゃあ機嫌よくいればいいのだな、と学んだ岡田は次の場所で実践しようとします。
しかしながら、今の仕事に直接つなげることにこだわったため上手くいかず。
もっと柔軟な姿勢でアンテナを広げ、相手と接する必要があるのだ、というように行く場所それぞれで大事なことを学んでいくわけです。
ちなみにどこまでも飄々とした態度の、しかもだいぶ若く見えるタクシー運転手に岡田は最初イライラしていたものの、的確なことを言われるうちにどんどん心を開いていきます。
終わりに
その後の岡田は興味の幅を広げた結果、ギターを衝動買いしたり、それに対して彼の奥さんが意外な反応を見せたりと、ちょっと気になる展開になります。
でも結末部分で少し奥さん視点の話が描かれ、いろいろとスッキリします。
そして、読み終わったらぜひそのまま最初の数ページだけでも読み返してみてください。
一読目はどうでもよく思えた、ラジオを聞いてる場面でちょっと嬉しくなるはずです。
以上、物語の表面的な部分を紹介していきましたが、読んでみるとこの命は自分だけのものじゃなくて、つながっているんだなということが腑に落ちます。
興味のある方はとりあえず読んでみてください。
喜多川泰著『運転者 未来を変える過去からの使者』
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