『小説アルケミスト』あらすじ・要約まとめ#24

読書

パウロ・コエーリョ著の小説『アルケミスト 夢を旅した少年』。

前回の記事からの続きです。

軍隊の野営地から解放された錬金術師と少年。

目的地のピラミッドまであともう少しです。

錬金術の実演

二人はまる一日、馬に乗って進み、午後遅くに、コプト人(エジプトのキリスト教信徒)の修道院に行き着きました。

錬金術師はそこの修道士に台所を使わせてくれるように頼んでOKをもらい、妙な作業を開始しました。

台所で火を起こし、修道士からもらった鉛を鉄鍋に入れて溶かします。

錬金術師はそこで例の黄色い玉を少し削って破片を鍋に入れると、溶けていた鉛は赤っぽい色に変わります。

火を止めて、冷ましている間は修道士と世間話をしていました。

冷めた鍋を見て修道士と少年がびっくりしたことに、鍋のなかで固まっていたものは鉛ではなく、金に変わっていたのでした。

金塊を四つに分けてシェアする

錬金術師はこうして(口が達者なだけでなく)実際に金を作れることを証明してみせました。

そして円型の金を四つに切り分け、ひとつを修道士に渡します。

「しかし、これは私のした親切をはるかに超えていますよ」と遠慮する修道士に対し、そんなことを言うと次から少ししかもらえなくなるかもしれないよ、と注意する錬金術師でした。

二つ目は、首領に渡したものの償いということで少年がもらいます。

少年は、首領に渡したものをはるかに超えていると、修道士と同じようなことを言いかけてやめました。

三つ目は、錬金術師自身がオアシスに戻るためにということで自分がもらいます。

四つ目の金塊は少年がまた必要となるかもしれないからと、修道院に預けました。

錬金術師は「わしは迷信深いアラブ人だから」と、信じていることわざを話しました。

「一度起きたことは二度と起こらない。二度起きたことは必ず三度起きる」

少年は旅の始めに泥棒に盗られたのと、先日首領に渡したので二回財産を失っているというわけです。

夢に関する物語

修道院を出て、それぞれの馬に乗りながら、錬金術師は夢に関する物語を少年に語りはじめます。

古代ローマの時代に、二人の息子を持つ善良な男がいました。

息子の一人は軍の百人隊長で、もう一人は売れっ子の詩人でした。

ある夜、その父親の夢の中に天使が出てきて、息子さんの一人の言葉は、これから永遠に世界中で語り継がれますよ、と言われました。

父親はありがたくて泣きますが、しばらくした後、戦車にひかれそうな子供を助けようととして自分が死んでしまいます。

父親は善良な男だったのでまっすぐ天国へ行き、そこで夢に出てきた天使と再会します。

「私にとって、人生はすばらしいものでした」

と男は言い、何世代もわたって読まれているという息子の言葉を知りたいと天使に言いました。

残っているのは誰の言葉か

天使が男に触れると、二人はずっと先の将来に飛んでいきました。

すると何千人という人々が、息子の残した言葉を話していて、男は感動します。

「息子のどの詩をこの人たちがくり返しているのか、教えてくれますか?」

すると天使は、詩人だった息子さんの詩はローマでは人気があったけれど、その後は忘れ去られてしまったと言います。

今聞いているのは、兵隊だった息子さんのほうの言葉ですよと天使が言うので、男は驚きました。

ただ、お言葉をください

百卒長だった息子の召使いの一人が病気で死にそうになったとき、彼は病気をなおすというラビ(宗教的指導者)の話を耳にします。

彼は馬に乗り、何日もかけてそのラビを探しに行くのですが、人々から話を聞くうちに自分自身もその教えに帰依しました。

実際に出会った瞬間、確かにその男が神の子であるとわかりました。

今すぐに重病の召使いのところへ同行しようと言うラビに対し、息子が言った以下の言葉がずっと語り継がれているのです。

「主よ、私の屋根の下にあなたにおいでいただくほど、私は価値のある者ではございません。ただ、お言葉をください。そうすれば、私の召使いはなおります」

誰もが中心的役割を担っている

以上、錬金術師がはなむけとして少年に語った物語です。

「何をしていようとも、この地上のすべての人は、世界の歴史の中で中心的な役割を演じている。そして、普通はそれを知らないのだ」

ここで少年と錬金術師は別れるのでした。

記事25に続く

パウロ・コエーリョ著『アルケミスト 夢を旅した少年

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