パウロ・コエーリョ著の小説『アルケミスト 夢を旅した少年』。
前回の記事からの続きです。
お金も貯まり、羊飼い稼業にに戻るつもりでいた少年。
しかしせっかくなので、エジプトまでの距離をちょっと調べてみようと行動したことで運命が展開していきます。
ここで重要キャラの一人である、イギリス人が登場します。
(言ってしまえば出てくる登場人物のほとんどが重要キャラですが)
錬金術を研究してきたイギリス人
そのイギリス人はこれまでずっと勉強の日々を送ってきました。
宇宙にひとつしかない本当の言葉を見つけるために、今は錬金術を学んでいました。
「大いなる作業」や「賢者の石」についての研究は、これ以上先に進めないところまで来ていました。
親の残した遺産もほとんど研究費に使ってしまった状況でしたが、考古学者の友人がそのイギリス人に、オアシスに住む錬金術師の話をしてくれます。
「彼はアルファヨウムのオアシスに住んでいて、年齢は200歳で、どんな金属でも金に変えることができるらしい」
その話を聞いたイギリス人は興奮し、重要な書物だけをひとまとめにして、今このほこりっぽい倉庫でキャラバンを待っているのでした。
イギリス人と少年の出会い
そんなイギリス人のところに、少年が大きな手荷物と一緒にやってきてイギリス人にあいさつをします。
「どこへ行かれるですか」と聞かれても、イギリス人はそっけなく「砂漠へ行くのです」と返事をし、本の続きを読み始めます。
イギリス人にあいさつした少年は(つきあいがよくないなこの人)と思いながら、自分も本を読み始めます。
少年は読書には集中できないものの、「決心するということは、単に始まりにすぎない」という洞察を得ていました。
読書をやめ、少年が例の2つの石をポケットから取り出して遊び始めたところに、イギリス人が食いつきます。
それってウリムとトムミムじゃないかと叫び、少年を驚かせるのでした。
意気投合する二人
「わかる人には、それがウリムとトムミムだってことがわかるんだ」とイギリス人。
彼も、少年のものと同じ2つの石を持っていました。
そしてイギリス人は、聖書にもウリムとトムミムのことが書いてあると説明し、その話を理解した少年は、この場に居合わせたことを幸せに思うのでした。
「これは前兆かもしれない」とイギリス人は独り言のように話し、少年は彼の口からも前兆の話題が出たことに興味を示します。
誰もが理解できたのに、今はもう忘れさられてしまった「宇宙のことば」があるのだとイギリス人。
彼はその「宇宙のことば」を知っているという錬金術師を見つけるために、今ここにいるのでした。
「幸運」と「偶然の一致」
そんな二人の会話は倉庫の親方が来たことでさえぎられたのですが、おまえさんたちはついてるぞと言われます。
親方が言うには、キャラバンの目的地はアルファヨウムに決まったとのこと。
少年はアルファヨウムってどこだよという反応でしたが、エジプトにある都市です(ファイユームという呼び名が一般的)。
こんな風にたまたまエジプト行きのキャラバンに参加できるようになるのも良い前兆だとイギリス人は言います。
「幸運と偶然の一致という言葉についてだけてわ、大きな百科事典が書けるだろう。『宇宙のことば』はまさにこの2つの言葉で書かれているんだ」
イギリス人はここで少年に出会ったのも決して偶然ではないと言います。
「君も錬金術師を探しているのかい?」「僕は宝物を探しているんだ」「ある意味では、僕も同じだ」
そもそも錬金術師ってなんなのか少年が聞いていたとき、親方から二人とも表に出るよう言われるのでした。
【記事10に続く】
パウロ・コエーリョ著『アルケミスト 夢を旅した少年』
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