『アルケミスト 夢を旅した少年』あらすじ・要約まとめ#03

読書

パウロ・コエーリョ著の小説『アルケミスト 夢を旅した少年』。

前回の記事からの続きです。

広場で本を読んでいた少年に、とある老人が話しかけます。

少年は最初その老人をウザがるものの、話しているうちにその不思議さに興味を示していきます。

ここから老人は要約のしようがないほどたくさんの名言を吐いていきます。

メルキゼデックという老人

老人は自分をメルキゼデックと名乗り、少年に羊を何頭持っているのかと聞きます。

少年が十分持ってますと答えると、その老人はじゃあ助けられないとか言うので、少年は「別に助けてくれとも頼んでないし」と内心いらいらします。

老人はペースを崩さず続けます。

「おまえの羊の十分の一をわしにおくれ。そうすれば、どうやって宝物を探せばいいか、教えてあげよう」

それを聞いて少年は夢と占い師の老女のことを思い出し、この老人は老女の身内じゃないかと勘ぐるのでした。

じゃないと話していないはずの夢のことなどこの老人が知るはずもないということですが、少年が何も言わないうちに老人は広場の地面に何か書き始めます。

そこには少年の両親の名前や、(少年もまだ知らなかった)商人の娘の名前など、いろいろ書かれていたのでした。

その望みは宇宙の魂から生まれた

この老人が少年の前に現れた理由は、少年が自分の運命を発見したからとのこと。

老人は運命について語ります。

「誰でも若い時は自分の運命を知っているものだ。しかし時がたつうちに、不思議な力が、自分の運命を実現することは不可能だと、彼らに思い込ませ始めるのだ」

その力は否定的なものに見えますが、実際は運命の実現方法を人に示してくれて、その人の魂の準備をさせます。

「おまえが誰であろうと、何をしていようと、おまえが何かを本当にやりたいと思う時は、その望みは宇宙の魂から生まれたからなのだ」

「したいと思うことが旅行でもですか? 商人の娘と結婚したいという望みもですか?」

少年の問いに老人はそうだ、と答えます。

『大いなる魂』は人々の幸せによってはぐくまれ、不幸、羨望、嫉妬によってもはぐくまれます。

自分の運命を実現することは、人間の唯一の責任であり、すべてのものは一つです。

「おまえが何かを望む時には、宇宙全体が協力して、それを実現するために助けてくれるのだよ」

老人はいろんな形で現れる

二人ともしばらく黙ったまま広場と人々を眺めていましたが、そのうち老人が口を開きます。

なぜ羊の世話をするのかという問いに、旅がしたいからと答える少年。

老人は向こうにあるパン屋を指さし、あのパン屋の男も旅をしたがっていたけれど、安定した生活のほうを選んだ、と語ります。

人は自分の運命よりも、他人にどう思われるかのほうが大切になってしまう、ということを老人は言いたかったのです。

そういうことを老人が話す理由は、少年が自分の運命を実現しようとしていてかつ、もう少しであきらめようとしているからでした。

この老人はこれまでいろいろな形で、そんな人々の前に現れてきました。

一つの解決法や良いアイデアとして現れることもあるけれど、人はその老人のおかげだということにはめったに気づきません。

エメラルドを5年間探し、すべてをあきらめようとしていた男の足元に、石ころとして現れたこともあったそうです。

男はみのりのない年月への怒りをこめて石ころを投げつけたら、砕けた石の中から最高級のエメラルドが出てきたのでした。

人生のすべてには代価が必要

人は人生の早い時期に、生まれてきた理由を知ります。

そのせいであきらめるのも早いけれど、そうなるべくしてなっているとのこと。

老人は、宝物について知りたいなら、羊の十分の一をよこしなさいと言います。

少年はこの後におよんで、宝物の十分の一じゃだめか、とか言って老人を失望させます。

「まだ手に入れていないものをあげると約束して始めたのでは、おまえはそれを手に入れたいとは思わなくなるだろう」

(身銭を切るからこそやる気が出るというもの)

人生のすべてには代価が必要だということを少年は学びます。

翌日に羊の十分の一を連れてくるよう言い残し、老人は去っていくのでした。

記事04に続く

パウロ・コエーリョ著『アルケミスト 夢を旅した少年

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