『具体と抽象』
人間の世界で生きていく上で「抽象化」がどれだけ大事かを説いている本です。
シンプルな言葉と最低限の文章および漫画でまとめられてますが、深い内容なので繰り返し読んだほうがいいと思います。
自分はオーディブルの朗読版を数回聴きました。漫画の部分も音声だけでうまく表現されてます。
ブログで本を紹介する上でも具体と抽象を行き来する能力が重要になってくるわけで、自分はもっと精進しなきゃと思いました。
人間は抽象化でサバイバルしてきた
俗世間では、具体的であるほど良くて、抽象的なものは悪だというイメージを持たれがちですが、そのような考え方は非常にもったいない。
というのも、人類というのは抽象化という能力を駆使して科学や文化を発展させ、生き延びてきたからです。
僕たちが普段使っている言葉や、数の概念なんかも抽象化の産物です。
たとえば数字が存在しなかったり、モノを数えるという考え自体が存在しない世の中を想像できるでしょうか。
あるいは他人と意思疎通を図る上で、言葉を使ってはいけないとしたら?
これらの状況では、人間の世界が成り立たないことがわかると思います。
応用を効かせるために
とはいえ、なんでも抽象的であればいいというわけではありません。
できる人であれば、例えば仕事の場面で「これをうまくやっておいて」みたいに言われたとしても、状況を把握してほんとにうまくやるのかもしれません。
でも僕なんかはおそらく「え?具体的に何をどうすればいいのですか?」となります。
そこで指示する側が賢ければ、上手に「例えばAな感じであればBをするんだよ」と説明してくれたりします。
そして、僕がもし抽象化と具体化を多少理解できていれば(ということは、CだとしたらDをするんだな!)と、応用できるわけです。
ここで具体レベルでしか考えられなかったら「AならB」のパターンで固定化されてしまうという、悲しい事態になりかねません。
抽象度の違いで真逆の意見にもなる
一言に抽象度といっても、レベルごとの階層構造になっています。
俺の飼ってる三毛猫、いろんなタイプの猫、ネコ科、哺乳類、脊椎動物、生命体……という具合です。
ここに「人も猫も同じだよね」と言う人がいて、片や「人と猫は全然違うよね」と言う人がいたら、どっちが正しいのでしょうか。
この場合では、抽象度のレベルによって、両方とも正解ということになります。
遊んで食べて寝る、その日を生きる生命体だというレベルでは人も猫も同じ。
具体的に、猫は四足歩行だし、毛がフサフサだし、ニャーってしか言わないし、人と全然違うじゃんとも言えます。
なので、話が通じないなと思ったら、お互いに抽象度のレベルが食い違っている可能性があるわけです。
抽象化がブレない軸をつくる
こういったことがわかってくると、映画やゲーム、小説や音楽などの作品に対し、絶賛する人と批判する人が同時にいることにも納得がいくはずです。
自分が推す作品に低めのレビューがされていると凹みがちだけど、そのレビューをよく読むと抽象レベルが低くて的外れであることも多いのです。
また、ブレない基準や方向性を定めるというのも抽象化のなせるわざです。
方向性がしっかりしていれば、細々とした意見などを真に受けて右往左往することもありません。
終わりに
以上のように、この本を読むことで、具体と抽象という概念がとても大切だということがわかると思います。
実際に具体と抽象を行き来できるような思考力をつけるためにはトレーニングが必要だけれど、こういう知識があるだけでも見える世界がちょっと変わって面白いです。
ここまで読んでいただきありがたいものの、今回はいつも以上に本の紹介というか自分の考えばかり書いてしまった感じなので、僕の言ってることは適当に受け流して実際に本を読んでみてください。
『具体と抽象』
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