エックハルト・トール著『ニュー・アース』。
前回の記事では6章の前半部分を要約しました。
今回は6章の後半部分です。
ペインボディから解放されるための方法などについて説明します。
ペインボディから自分を引き離す
活動的なペインボディを抱えている人はネガティブなエネルギーを放出していて、他の人はそれを非常に不快に感じます。
ネガティブなエネルギーのせいでしょっちゅう争いに巻き込まれたりもします。
このような人に反応しないためには、自分がしっかりと「いまに在る」必要があります。
こちらが「いまに在る」ことによって、相手がペインボディから自分を引き離し、目覚めを経験することもあります。
トール氏の体験談になりますが、隣に住んでいるエセルという女性が夜中に彼を訪ねてきました。
彼女は知的な中年女性だったけど、思春期にナチスドイツの強制収容所を経験していて、強いエゴと重いペインボディを抱えていました。
彼女は住宅の修理費用の件で管理者ともめていたらしく、10分ほどまくしたてていました。
その間トール氏はとにかくオープンな姿勢で「いまに在る」状態を保っていたといいます。
そうしたら彼女はふと我に返り、夢から醒めたような表情になり、落ち着きを取り戻しました。
翌日、彼女はトール氏に聞きました。「あなた昨日、私に何かをしましたの? 昨夜は数年ぶりにぐっすり眠れました」
トール氏は何かをしたのではなく、「何もしなかった」のです。
彼の力は、介入しないこと、行為しないことから生じていました。
これによりエセルは、短時間ながら「悟り」の体験をしました。続かないにしてもプロセスの始まりになります。
「悟り」とは「いまに在る」ことで、頭のなかの声や思考、感情から離れることです。
「いまに在る」静謐のなかで、あなたは自分と相手の形のない本質を感じます。
あなたと相手がひとつだと知ること、それこそが真の愛であり、気遣いであり、共感です。
「引き金」
ペインボディのなかには、一定の状況にだけ反応するものがあります。
例えば過去に金銭的な問題で苦痛を経験した人は、お金に関することが引き金となりペインボディが活性化したりします。
親から愛されなかった子どもは、おとなになってからもペインボディが共鳴する相手に惹かれがちなので、異性関係に苦しむかもしれません。
自分のペインボディの目覚めを感じられるようになりましょう。
そうすれば、引き金となる状況や他人の言動がわかるようになります。
ペインボディが目覚めても「いまに在る」ことができていれば、ペインボディと自分を混同しなくなります。
そしてそのたびに、ペインボディのネガティブな感情的エネルギーの一部が焼失し、「いまに在る」力に変わるのです。
ペインボディはあなたの無意識を必要としていて、「いまに在る」という光には耐えられません。
目覚めのきっかけとしてのペインボディ
ペインボディに支配され、ペインボディを認識できずにいると、ペインボディがあなたのエゴに一部に組み込まれます。
でもペインボディがあまりに重くなり、エゴの構造では支えきれなくなると破綻します。
ある女性はこれを「もう不幸でいることにはうんざりだ」と表現しました。
感情的苦痛があまりにも激しいので、心の構造から自分を引き離すのです。
そのとき人は、自分の不幸な物語も感情も、自分自身ではないと知ります。
こうしてペインボディが、逆に目覚めのきっかけとなります。
必ずしも激しい苦しみを経験しなくとも、ペインボディから自分を引き離すことはできます。
あなたとは「自らについて意識的になった意識」です。
ペインボディからの解放
ペインボディから解放されるには、どれくらいかかるのでしょうか?
答えはその人のペインボディの密度と、どこまで真剣に「いまに在る」ことができるかによります。
ただ、苦しみの原因はペインボディそのものではなく「自分とペインボディの同一化」にあります。
なのでより大事な質問は「ペインボディとの同一化から解放されるには、どれくらいかかるのだろう?」です。
この答えは「すぐにでも可能」です。
自分のなかでペインボディが活性化したことにすぐに気づけば、ペインボディとの同一化を断ち切ることができます。
ペインボディだと気づいたら、問題視するのではなく、受け入れましょう。
受け入れるとは、何であれその瞬間に感じていることを素直に認めることです。
認めることを通じて、あなたはせいせいした自分自身になれます。
断片ではなく、全体になれるのです。
あなたの本来の、真のエネルギーが湧き起こります。
(次の記事に続く)
コメント