細谷功先生の本は読めるだけ読んでおこうと思い、次に手をつけたのが今回紹介する本です。
メタ思考、メタ認知、メタバースなどなど「メタ」という言葉には不思議な響きがあるものの、いったい何のことなのかいまいちピンとこない人は多いと思います。
メタというのは「上位概念」。映画の中の世界を映画鑑賞する人の視点で眺めるような感じです。
本書は随所に演習問題が入りますが、解説も丁寧にしてくれています。
なのでオーディブルの朗読版を聴いたとしても、置いてかれることなく理解できると思います(ただしやはり内容が濃いため自分は数回聴きました)。
メタ思考の利点
メタ思考ができるようになれば、今の自分が問題だと感じているようなことを、斬新な方法で解決できたりします。
こじれた人間関係なども、ひょんなことからなんとかなるかもしれません。良いことずくめです。
このメタ思考は、物事を抽象化したり、アナロジーを考えたりすることで鍛えることです。
アナロジーというのは直訳すると「類推」で、まったく別物と思えるものから共通点を見出すのもそのひとつ。
芸人のねづっちさんが得意とする「謎かけ」もアナロジーの一種といえます。
アナロジーの例
謎かけだと、たとえば「コロナウイルスとかけて、嫌いなスポーツの試合と解く。その心は?」「どちらもカンセンしたくない」という感じです。
同音異義語による言葉遊びということですが、こういうことを考えていればメタ思考も鍛えられてきます。
次の例は謎かけではないですが「エレベーターとコピー機の共通点は?」ときかれたらどう答えるでしょうか。
この場合、エレベーターだとメンテナンス、コピー機だと交換用のインクやトナー、つまり維持するのにお金がかかるということです。
ぱっと見は全然関係ない2つでも、抽象度を上げて考えることで思わぬ共通点に気づくわけです。
自己矛盾に気づこう
抽象度が上がれば、自分で言ったことの自己矛盾にも気づけるようになります。
たとえば「あの人は他人の悪口ばかり言ってばかりでだめだ」と、自分があの人の悪口を言う。
「大きな声で叫ぶな!」と、大声で叫ぶ。
「決めつけはいかなる場合でも良くないことだ」と決めつける。
あと、男女平等が叫ばれた結果、女性専用〇〇ができたり。
このように、滑稽なくらいに世の中は自己矛盾であふれているように思えます。
フォードの名言
ヘンリーフォードの有名な言葉に「もし私が何が欲しいかを聞いていたとしたら、人々は『もっと速い馬』と答えただろう」というのがあります。
さすが自動車を量産した偉人らしい言葉だと思います。
このエピソードから、人々は本当に欲しいものをうまくイメージできておらず、完成品を見せられてやっと「コレめっちゃいいじゃん」と言う場合があることがわかります。
スティーブジョブズもいちいち他人の具体的な要望を聞いていなかったからこそ、iPhoneとかを世に出したわけです。
だからといって人の要望を無視していいという話ではなく「なぜそれを願うのか」と問い続け、本質的な答えにせまっていこうという話です。
終わりに
以上、個人的に印象に残った部分を紹介していきました。
細谷功先生の本はどれも面白くて読みやすいのですが、扱っているテーマが難しいのですぐに理解できるものではありません。
でも、それぞれの本どうしが絶妙につながっている感じがするので、たくさん読むほど理解が深まってくるのではと思います。
とりあえず自分は、謎かけ(AとかけてBと解く。どちらもCでしょう)を練習してみます。
あと、何事も枝葉ばかりにこだわらず、幹や根を見るように心がけようと思いました。
細谷功著『メタ思考トレーニング』
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