Testosterone著『幸福の達人 科学的に自分を幸せにする行動リスト50』を紹介します。
著者のテストステロン氏は『筋トレが最高のソリューションである』シリーズで有名な筋トレマニアの人。
その知見を生かしながら、科学的に幸福になる方法について書かれたのが本書です。
内容は科学論文がベースなのもあり、すごく斬新というわけではありません。
しかし著者による、スキあらば何でも筋トレに結びつけようとしたり、自虐的であったりする語り口がツボにはまれば、内容がより深く記憶に定着するはずです。
ちなみに僕はこの本をオーディブル版で聴きました。
声優でもある岡本和浩氏により、テストステロン氏のマッチョなイメージに合う野太い声で朗読されます。
吹き出してしまう箇所が随所にあるので、人のいる場所で聴く際はご注意ください。
科学の情報を「笑い」が補強
本書の監修者には、幸福学の権威でもある慶應大の前野隆司教授がついています。
テストステロン氏を客観的に眺める立場として心強い存在になっています。
たとえば本書では「5分間、呼吸に意識を向ける瞑想」が紹介されています。
それに対しテストステロン氏が「筋トレにも瞑想と同じ効果が期待できる。いずれ科学が証明する」と主張。
そこにすかさず注釈として「著者の独断と偏見によるものです」というツッコミが入るという、漫才のような展開になったり。
このように、それだけでは味気ない科学論文の情報が、ギャグによって補強されるわけです。
自虐ネタが心地よい
ほかの例でいえば、「スマホに依存しすぎると幸福度が下がる」ということは、情報としては多くの人が知っているはず。
これに対するアクションとして「俺は意識的ににスマホを遠ざけることを実践している。今のところ、それで困ったことはない」とテストステロン氏。
続いて「なぜなら、俺には誰からも連絡がこないからだ!」と言って笑いを誘います。
また「1日に5回、ハグをする」という習慣が、幸せにつながるというデータがあるとのこと。
それに対し氏は「は? ハグする相手がいないんだが? ……すまん、つい心の声が漏れてしまった」と反応。
これらのようなテストステロン氏の自虐的な語り口によって、僕は読者のひとりとして「彼はなんとなく信用できる」という感想を持ちました。
「これならできるかも」がたくさん
本書では幸せになるために、具体的にどんな行動をとればいいかまでが書かれています。
行動と聞くとハードルが高い感じがしますが、これならできるかもと思えるものもたくさんありました。
「楽しいと思える作業にこそ、あえて小休止を入れる」というのも行動のひとつ。
ひとつひとつに科学的なエビデンス(証拠)が入るので、説得力もあります。
終わりに
「主観的に、自分が幸せであると感じられる状態」
これが、本書の「はじめに」の部分で書かれた幸せの定義です。
そのためにどんなことをすればいいのか、なぜ効果があるのかが、本書では非常にわかりやすく書かれています。
やることリストの数個をこの記事で紹介してきましたが、ほかにも知りたい、何より笑いたいという方は、ぜひともこの本を読んでみてください。
Testosterone著『幸福の達人』
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