パウロ・コエーリョ著の小説『アルケミスト 夢を旅した少年』。
前回の記事からの続きです。
錬金術師とも別れ、長かった少年の旅ももうすぐ終わります。
今回の記事で物語の最後まで要約します。
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ピラミッドを見つけて感動
少年は自分の心に耳を傾けながら、数時間砂漠を馬で進んでいきました。
彼が砂丘を登ろうとしたとき、彼の心がささやきます。
「あなたが涙を流す場所に気をつけなさい、そこに私がいます。そしてそこにあなたの宝物があります」
そして砂丘を登りきると、月の光と砂漠の輝きに照らされて、荘厳としたピラミッドがそこにありました。
少年はひざまずき、声をあげて泣きます。
これまで自分を導いて王様、商人、イギリス人、錬金術師に会わせてくれた神に感謝しました。
そして、愛は運命の追求を邪魔しはしないと言ってくれた女性と出会えたことに感謝するのでした。
涙の流れ落ちた場所を掘れ
ピラミッドにたどり着くまでの数々の体験が、少年にとっての宝物だともいえます。
しかしやはり実際の宝物を見つけださないことには彼の夢は完成しないわけです。
少年の涙が落ちた場所に、神のシンボルでもある虫「スカラベ」がいたことが、もう一つの前兆でした。
彼はそこに宝物が埋まっていると思い、砂を掘り始めます。
かなりの時間掘り進んでも何も出てきませんでしたが、彼の心が伝えた通りに作業を続けるのでした。
二回起こったことは必ず三回起こる
そんな少年に、数人の人影が近づきます。
彼らは部族戦争の難民で、少年の持っているお金を目当てにしていました。
彼らは少年のカバンから金塊を見つけ、取り上げてしまいます(錬金術師が予言した通り、二度あることは三度あるという)。
土の中にさらに隠しているはずだと少年に掘り続けさせます。
しかし何も出てくる気配がないので、彼らは少年をボコボコになぐり始めました。
このままじゃ死ぬ、と思った少年は「僕は宝物を探して掘っていたんだ!」と叫び、ピラミッドのそばに宝物が隠されているという夢を二回も見たんだ、と話しました。
宝物のある場所
少年はそこまで言ったあと、ほとんど力尽きてその場に倒れます。
一団のリーダー格の男が、これ以上少年からとれるものはないと判断します。
しかし立ち去る前に、リーダーの男は少年に以下のようなことを言いました。
おれたちはもう行くし、おまえも死にはしないだろう。
実は二年前、おれもこの場所で何度も同じ夢を見た。
スペインの平原に行き、羊飼いと羊たちが眠る見捨てられた教会を探せという夢だった。
そこの祭壇だった場所に生えているいちじくの木の根元を掘れば、宝物が見つかると夢のなかで言われた。
だからといって実際に砂漠を横断するほど、おれは馬鹿じゃないから。
以上を言い残し、行ってしまいました。
こうして少年は宝物のありかを知ったのでした。
エピローグ
少年はその見捨てられた教会に戻ってきました。
いちじくの根元をシャベルで掘りながら、彼はこれまでのことを回想します。
錬金術師が金の一部を修道院に残しておいてくれたおかげで、彼はここに戻ってこられました。
ボロボロになった少年を見て、修道士は笑っていました。
錬金術師には当初から一部始終が見えていたんですよね、と少年が思っていると、風の中から返事がします。
「それをわしがおまえに話していたら、おまえはピラミッドを見なかったことだろう。ピラミッドは美しくなかったかね?」
確かに、でもボコボコにもされたよ? と微笑みながら少年が掘り進めていたら、スペイン金貨や宝石が入った宝箱が出てきました。
占い師のおばあさんに、10分の1を渡すという約束を少年は思い出しました。
アフリカから吹いてくるレバンタールの風は、少年の知っている香りとキスの感触を運んできました。
「僕はすぐ戻るよ、ファティマ」と少年は言うのでした。
終わりに
以上、25記事に渡って小説「アルケミスト」を紹介してきました。
もう少し内容を凝縮できたかもしれませんが、名言が多すぎて結局こんなに長くなりました。
(それでも小説そのものと比べたら活字量は2割くらいにはなっているはず)
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
パウロ・コエーリョ著『アルケミスト 夢を旅した少年』
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