『運命を拓く』要約と感想その4。思考は現実化する

瞑想

中村天風著『運命を拓く 天風瞑想録

伝説の人、中村天風氏の本を数記事に渡って要約していきます。

前回の記事では第一章「生命の力」の部分を要約しました。

今回は第二章「人生を支配する法則」について。

心の作用は強烈なので、理解すると同時に応用する力が必要です。

なので人生を支配する法則についても学び、心を正しく使えるようにしていきましょう。

すべては一つのものから生み出される

動物、植物、鉱物もすべては一つのものから、すなわち「霊妙な気」によって生み出されています。

魚自身が水の中で生きているように、人間もこの霊妙な気の持つ力の中で生きています。

この気のことを天風哲学で「宇宙霊」と呼ぶのは、大自然に対する尊敬の念も込めているからです。

呼び方はなんであれ、それは感覚できないものの確かに存在しています。

(無条件に純真な気持ちで、それは在るのだと想定することが大切です)

それを証明する事実なりデータがないと、無邪気に信じることはできないかもしれません。

しかし想定できないからといって頭から否定するような乱暴なこともできません。

一切の事物の根底にあるもの

「宇宙の一切が、この気から作られている」

天風氏はインドの山にこもっているときに(証拠はつかめないものの)そう思ったとのこと。

この「精神的な宇宙の根本主体の気」には、全智全能がみなぎっています。

朝と夜が繰り返し、季節が巡るという整然たる秩序を思うと、幽玄微妙な霊智の尊さを感じられます。

人間の心が病や運命を気にしない、無念無想に近い状態であれば、この幽玄微妙な気の持つ霊智をたくさん受け入れることができます。

しかし肉体やその本能や感覚にしばられ、融通の効かない心になると、霊智を十分に受け入れられなくなります。

心の態度でエネルギーの受け入れ量が変わる

天風氏は山で座る日々が繰り返されていたときに、ふいに悟ったといいます。

人間の運命も健康も完全なものにするのは、結局のところ心の持ち方だということ。

宇宙を支配する目に見えないエネルギーは、肉体の神経によって受け入れられます。

しかし肉体から受ける影響が相対的なのに対し、心から受ける影響の方は絶対的です。

つまり自分を完全に活かすには、心の態度を取り替えるのが先決だということです。

どうせ死ぬにしても、死ぬことを心配しているよりも、死から心を遠ざけて活きたほうが死ぬ刹那まで気楽です。

人間の心で行なう思い方、考え方が、人生の一切を良くもし、悪くもする、というのが人生支配の根本原則です。

簡単に得たものは失いやすい

しかし自分自身が苦労せずに教わったものは、価値の認識を誤るおそれがあります。

知っているか知らないかを問わず、宇宙にはこのような事実が存在しているということを忘れてはいけません。

心身を統一できる人間であれば、大した経験や学問をしなくとも、男女問わず、誰でもひとかどの成功ができるようになっています。

「清く、尊く、強く、正しい積極的な心」であれば、万物創造の力を持つ霊智が、人間の生命の中にたくさん送り込まれます。

折にふれ感覚の世界から離れて、大もとの宇宙の真実の世界に心を預け、静かな気持ちになるようにしましょう。

悟れば、一瞬にして幸せになる

宇宙エネルギーを全身に分配するのは神経系統ですが、その神経系統が直接もしくは間接的に、心の支配を受けていることを知りましょう。

この現象界に存在するものは、科学的に見れば物質的であるけれど、哲学的に観察すれば、どこまでも非物質的な、精神的なものだとわかります。

つまり観念でしか想定できない「宇宙霊」という一つの気が、全宇宙の本質となっているのです。

天風氏が過去に病に悩まされていたときは、自分の思考が運命や健康を悪化させていたことに気付いていなかったといいます。

人間の心こそ、宇宙の創造主と、自分の生命と本体である霊魂とを、結合させる回路なのです。

この世は本質的に、美しい世界

天風哲学の根本的な考え方は「この世は苦しいものではなく、本質的に楽しくて嬉しい、調和した美しい世界だ」ということです。

たとえ人生に苦難や苦痛があったとしても、それを心の力で喜びと感謝に振り替えることができます。

だからこそ天風哲学は神秘的で宗教的な、価値のない教え方をしません。

苦しみや悲しみを乗り越えていけるような心を作るためには、第一に「人間らしい自己認証」をしなければいけません。

すなわち「人間は偉大な力を持つ宇宙霊と、自由につながる資格を持っている。だから万事を想うままにできる」と考えるのです。

今生きていること、それが宇宙霊の力に抱かれている確固たる証拠です。

お前は世界一の幸せ者だ

天風氏はインドにて、病で弱っていた当時に師匠にこのように言われたので、その時は腹が立ったそうです。

なので「その意味が私にはわかりません」と不満を示すと、

「苦しい病にしいたげながらも、死なずに生きているじゃないか。それは造物主がまだお前を殺す意志がないから、守ってくだされているのだ」

と言われ、返す言葉もなかったとのこと。

この世は原因結果の法則に支配されていて、蒔いた種のとおりに花が咲きます。

この法則を知って巧みに使う人の人生は、自由と自在を得て、生きがいのあるものになります。

宇宙霊なるものは、霊智ある大生命である

何もないところから現在のような世界が、宇宙霊なる無限の霊智によって造られました。

宇宙霊の持つ生命と、人間の生命とはその内容において、まったく不可分で同一なものです。

宇宙霊はすべてのものを創り出すために、いつでも休むことなく働いています。

心が何かを思ったり、考えたりすると、ただちに宇宙霊が、その心の状態のとおりに働きだすということです。

人間はその本質が霊であるため、その本源である宇宙霊を呼び寄せる働きを持っているのです。

人間の背後には宇宙霊が控えていて、何かを欲したり、人知れず考えたりしたときも、すべてを現実の形として現そうとしています。

人間はこの世に何をしにきたか

ただ食べて、寝て、起きてを繰り返すために僕たちは生まれてきたわけではありません。

インドの師匠に生まれてきた意味を聞かれても、悟りを開いた人でないとその言葉を理解できないということで、天風氏も当時はつまらないことにしか思えなかったそうです。

「人間が万物の霊長だというのも、人間が勝手に決めたことではないか」

「人生に味わうのは不幸な面ばかりだし、人間は苦しみにきただけではないのか」

などと理屈をこねて師匠に言ったら、ただ黙って張り倒されたということです。

そこから天風氏は考えて、答えを出すのに半年を費やしました。

「人間は、宇宙の進化と向上に順応するために生まれてきた」ということ。

その答えをおそるおそる師匠に言ったら、正解だと微笑んでくれたそうです。

宇宙霊とともにある

僕たちは孤独ではありません。常に全知全能の宇宙霊に包まれています。

だから自分は宇宙の中で最も優れたものとして造られたのだと考えてよいのです。

難しく考えすぎないほうがよくて、真理は足もとにあります。

人間の正しい心、勇気ある心、明るい心朗らかな心といった積極的な心持ちには、宇宙霊の全能の力が注がれるのです。

次の記事に続く

中村天風著『運命を拓く 天風瞑想録

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