古賀史健著『文章講義』要約#06 音読による確認は万能

読書

20歳の自分に受けさせたい文章講義

前回の記事からの続きです。

視覚的リズムを整えることについて一通り語ってきました。

今回のテーマとなる聴覚的リズムは、実質的には「音読したときのリズム」となります。

文章に関するあらゆるアドバイスが「音読すればオッケー」となってしまうくらい、音読は万能なのです。

なお本記事の後半では「断定」の大切さについて説明します。

好きな本を音読すると新たな発見がある

黙読という行為が受動的になりやすいのに対して、音読は能動的に行われるものです。

他人の書いた文章を音読することは、「自分のリズム」との違いを意識することになります。

その結果として、黙読しただけのときよりも新鮮さを感じ、新たな気づきを得ることも多いのです。

なので自分の好きな本や、面白いと思える文章があったら、ぜひ音読してみることをおすすめします。

読点の位置を確認しながら音読する

自分で書いた文章は、自分の言葉を使い、かつ自分のリズムになっているので、他人の文章よりも音読しやすいはずです。

なので音読でチェックするとしても、無意識に読み流してしまいがちになります。

それを防ぐためのポイントとして、まずは読点(、)の位置を確認しましょう。

自分の文章が、他人にとっても読みやすいかどうかを判断するのは難しいものです。

「読点の位置を確認しながら音読する」という作業は、自分自身に客観性を持たせるための助けになります。

音読することで、想定した通りの文意が他人に伝わるかどうかを確認しやすくなるのです。

文章のリズムをチェックするための道具として、音読を使っていきましょう。

言葉の重複がないかチェックする

自分で書いた文章を音読するにあたり、もう一つ意識的に確認したいのは「言葉の重複」です。

同じ言葉が何度も重なったとたん、文章のリズムは悪くなります。

例えば語尾が3連続以上「~です」で終わっていたら、狙ってやっている場合は別として、リズムがよくないと感じるはずです。

(自分のこれまでの記事を読み返したらかなり見つかりそうですが……)

語尾だけでなく、「そして」で始まる文が連続したりするのも避けたほうがいいでしょう。

もっとも、接続詞や語尾は目立つので、別に音読しなくても気づくかもしれません。

書き終えたあとに、文章のクセを確認

音読で確認したいのは、文の途中でさりげなく重複してしまっているような言葉です。

たとえば「○○という~」という言い回しが多すぎる、ということに気づくかもしれません。

また「とても」「かなり」「非常に」などといった副詞を使いすぎている場合もあります。

これらのような重複は一種のクセのようなもので、書きながら自覚しようとすると逆に書けなくなってしまいかねません。

だからまず書いてみて、「書き終えたあとに音読をする」という小さな一手間を加えてチェックしていくのがよいのです。

「断定」の言葉は切れ味が鋭い

テクニック寄りの話が続いたので、違った角度で「リズム」について考えていきます。

ここで著者の古賀氏が勧めるのが「断定」であり、言い切ってしまうことです。

  • この記事を読めば文章力が上がるのではないかと思われます
  • この記事を読めば文章力が上がります

この2つの文で「内容が正確」なのは前者でしょう(読み手の文章力が上がるかどうかなんて、保障できないから)。

でも、言葉の切れ味でいえば後者のほうが圧倒的に鋭くなるのです。

断定を避けてばかりだと説得力がなくなる

断定の言葉はハイリスク・ハイリターンです。

そこには作用・反作用の法則が働き、断定の言葉で押された読者は、同じ力で反発するようにできています。

だから日常的に断定を避け、「勝てるようにベストを尽くします」というように、含みを残した言い方をしたほうが、リスクは少ないです。

ただし、こうした言葉に含まれる「逃げ」や「保険」は相手に察知されやすいものです。

そして一旦「逃げている」「ごまかしている」と思われると、あなたの言葉に説得力がなくなってしまいます。

断定口調の前後を論理で固めよう

断定の言葉を使って相手を納得させるには、その周辺をしっかりとした論理で固めるしかありません。

正論でも暴論でも、断定すると条件反射としての反発が必ず出てきます。

なので、特に断定した箇所の前後2~3行には、突っ込みどころがないように注意を払いましょう。

断定するためには相当の自信がないとできない、と思うかもしれません。

そこは「自信があるから断定するのではなく、自信を持つために断定する」のだと考えてください。

すると言葉に説得力が生まれ、読者からの信頼も得られます。

そしてさらに自信が湧く、という好循環が生まれるのです。

記事07に続く

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