グーグルのマインドフルネス実践法『サーチ・インサイド・ユアセルフ』
チャディー・メン・タンさん(以下、メン氏)がグーグル社員向けに開発したマインドフルネス実践法を、一冊にまとめたのが本書です。
なかなか分厚い本ではあるものの、スマートな外国人特有の(?)ジョークがふんだんに盛り込まれているので楽しく読めるはず。
これから少しずつ要約していき(おそらく20記事前後になると想定)、本書の2割くらいの文字量でまとめていきます。
D・ゴールマン氏による序文
『EQこころの知能指数』の著者であるダニエル・ゴールマン氏による序文から始まります。
ゴールマン氏から見たグーグルの第一印象は、名刺に「陽気な善人」と書かれたメン氏によって決まりました。
メン氏のオフィスの壁には、ダライ・ラマとメン氏、モハメド・アリとメン氏とのツーショット写真などがずらりと貼られています。
知れば知るほどにメン氏がただ物でないことがわかってきました。
抜群な社会的知能を備えているだけでなく、見事なシステム分析力と美しい心を取り合わせているのです。
本書はグーグルからの贈り物
グーグルにて、ゴールマン氏がEQについての講演をしたところ、メン氏が深い洞察力でEQを分解・再構築してくれました。
そしてEQの中核をなす「己を知る」ための方法として、「マインドフルネス」という心のトレーニングが有効であると見て取ったのです。
メン氏が開発した講座は、いかにもウェブサーチの会社らしく「サーチ・インサイド・ユアセルフ(己の内を探れ)」通称SIYと名付けられました。
彼は著名な協力者とともに、幸せに満ちた人生を創るために、十分に検証された方法のなかから最善のものを選びました。
この本は、メン氏本人の言葉を借りるなら「グーグルからの贈り物のひとつとして世界へ分け与えればいい」という意図で書かれたものです。
J・カバットジン氏によるまえがき
続いて『マインドフルネス ストレス低減法』の著者、ジョン・カバットジン氏のまえがきになります。
(要は、著名な二人が本書はすごいと言ってくれている)
メン氏は、人類が瞑想の恩恵にあずかれるようになれば、それが世界平和にもつながると語ります。
グーグルという会社にいるからこそ、特別な役割を担うことができるわけです。
メン氏の計画が実現すれば、その影響力と重要性は計り知れません。
体系的に取り組むことで自由になれる
ここで述べておきたいのは、本書はただの本ではなくカリキュラムでもあるということです。
瞑想を通して他人や自分自身とかかわり、体系的に取り組むことで人生が一変し自由になれるでしょう。
本書を読み、今のあなたに納得の行く範囲で練習してみるだけでも、かならず効果が出てくるはずです。
メン氏はグーグルのプラットフォームと力を使い、マインドフルネスや心の平穏を人類の基本設定にしようと試みています。
ただしそれを真剣に捉え過ぎるのは得策ではないと心得ているので、あえて彼は真剣なユーモアを添えるようにしているわけです。
世界中の人が瞑想の恩恵を受けられるように
マインドフルネスとは、どこか別の場所に行くことではありません。
今すでにいる場所に完全に存在し、その完全な存在と意識の力を、今この瞬間に認識することです。
オープンソースの精神にのっとり、本書によって世界中の人が恩恵を受けられるようにしようとしています。
SIYのカリキュラムは、広大な瞑想の叡智に基づいているので、練習することで頭・心・体の根本的な面が育まれます。
その土台となっているのは最先端の科学や、さまざまな調査や研究の結果です。
気づきと思いやりは不可分
瞑想の恩恵を得るために、修行生活に入ったり、仕事をやめたり、家族を捨てたりする必要はありません。
8週間のトレーニングによって、脳の前頭前野の設定値が、修行僧と同じ方向にシフトしたという研究結果が出ています。
脳は自らの構造そのものを再編することが、他の研究からもわかっているのです。
気づきそのものの中にただとどまり、今この瞬間に生きることは、思いやりと不可分なものです。
みなさんが、自分の頭と心と体と人間関係を、思いがけない方法で発見することを願っています。
【記事02に続く】
チャディー・メン・タン著『サーチ・インサイド・ユアセルフ』
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