すべての悩みは、心の反応から始まる…。
草薙龍瞬という僧侶の著書『反応しない練習』について、要約および感想を書いていきます。
無駄な反応をやめることで、人生の悩みを解決できます。反応しても、それに気づけばリセットできます。
著者自身は「マインドフルネス」という言葉をあまり使っていませんが、本書はマインドフルネスの具体的な方法がたくさん書かれています。
少し長くなるので2回の記事に分けます。
反応する前に「まず、理解する」
漠然とした悩みを誰もが持っていると思います。まずはその悩みに気づき、理解するだけでも一歩踏み出せます。
悩みは、幼いころに感じた寂しさなど、過去の記憶が原因になっていることもあります。
そういった思いがあるんだと認め、受け入れるだけで悩みから抜け出せることもあるのです。
自分の心の状態を確認し、ムダな反応をおさえる方法が3つあります。
1つは、言葉で確認する「ラベリング」。自分の今の気持ちに言葉を張り付けるのです。「疲れ」「喉のかわき」「そわそわした感じ」などと言葉にします。
2つ目は「身体の感覚を意識する」。何かを触る感覚、呼吸するときのお腹の動き、歩くときの筋肉の動きなどに注目します。
3つ目として、自分の今の感情を「貪欲」「怒り」「妄想」のうちのどれかに分類するという方法があります。
心のムダな反応を止めることで、苦しみから解放されます。ニュートラルな目で物事を見ることができ、反応の背景には承認欲があるといったことに気づけるようになります。
良し悪しを「判断」しない
余計な判断がたくさんの悩みを作り出します。なので「良い・悪い」「好き・嫌い」とすぐに判断してしまうのをやめたほうがいいのです。
人が判断したがるのは、それが気持ちいいからです。結論を出せた気がして安心するし、自分が正しいと思えることで承認欲を満たせます。
判断とは「自分の頭の中にしか存在しない妄想」だと気づくことが大切です。決めつけや一方的な期待も妄想にすぎません。
人はおうおうにして、物事の一部しか見えていないのに全部理解した気になって、「自分は正しい」と判断してしまいます。
「正しいと判断しないこと」が正しいのです。
判断にとらわれず、自由な心を取り戻すための方法を3つ紹介します。
- 一歩、一歩と外を歩き、感覚に意識を向ける。
- 広い世界を見渡す。執着していることから距離をおいてみる。
- 「私は私を肯定する」という。ポジティブ思考とは少し違う、自分を受け入れる感じ。
マイナスの感情で「損しない」
人との関わりにおいて、相手の言動やふるまいに対してムダに反応し、心を乱されるのは無意味なことです。
湧いてしまった不快な感情は早めにリセットすることと、相手とどう関わっていくかについて考えることが大切です。
「心を半分を前に、もう半分を後ろに使う」と考えてください。
前半分の心は相手に向けて、相手のことをただ理解するようにします。
もう後ろ半分の心で、自分の反応を静かに観察するのです。
相手に対する心の向け方としては、やはり判断しないことです。
その人との間で過去どんなことがあったかは、忘れてしまうのが理想です。
記憶に反応するから怒りなどの感情が湧くのです。その人を初めて会う人として見るようにします。
できれば自分の気持ちを伝え、理解してもらえるよう努めましょう。
日々の生活においては、「不快」の感情を減らし、「快」の感情を増やしていくように心がけていくのが大切です。
本格的な仏教であれば「快」をも否定するところですが、日常を生きていく上では否定せずに満たしてあげればいいのです。
不快を感じることがあったら、一度仕切り直すようにしましょう。
前半まとめ
以上で本書の前半部分、自分なりに要約してみました。
著者は仏教の、宗教を超えた本質的な部分を、誰にでも理解できる言葉で表現しようとしてくれています。
本書でも言い回しのところどころに愛、というか慈悲の心を感じます。
大好きな本で何度も読んでいるのですが、内容が深いだけに、自分なりに説明するのがなかなかに大変です。
次回の記事で本書の後半部分の要約をしていきます。
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