エックハルト・トール著『ニュー・アース』。
自分にとって特別なのか、何度でも読み返してしまう本です。
本書の文章全部が大事に思えてしまうので要約できるかどうかわからないけど、少しずつでも進めていきたいと思います。
「読んだことないけど内容が気になる」という人と、「読んだことあるけど内容を復習したい」という人の役に立てればと思います。
今回は1章部分を要約しました。
花、開く
太古の昔において、花々は人類の意識の進化に欠かせない役割を担い始めます。
イエスは「花から生き方を学びなさい」と言いました。
ブッダは弟子たちを前に1本の花を見せ、ただ沈黙しました。弟子の1人マハーカッサパが意味を理解し微笑んだという伝説が、禅の始まりらしいです。
「悟り」の体験というのは、進化の延長ではなく、まったく別のレベルの存在への飛躍といえます。
人間の本質的な生き方は「いまに在る」ということです。
それができるようになると、あらゆる生命体に存在する意識、あるいは魂を感じ、それが自分の本質でもあると気づき愛するようになります。
花や結晶、貴石や小鳥に存在以上のものを感じるうちに、「魂の領域」に通じる内なる道が開けるのです。意識の変容、スピリチュアルな目覚めの始まりです。
変化をもたらすためのツール
本書自体が「変化をもたらすためのツール」になっています。
本書は読者に新しい情報を信念を与えたり、何かを説得したりするものではありません。
意識を変化させること、つまり目覚めさせることが本書の目的です。
目覚めるとは何なのかは、実際に目覚めることで初めて理解できます。
目覚めのプロセスがいったん始まったら、もう後戻りはしません。本書によってそのプロセスが始まったり、加速されたりします。
まずエゴについて理解する必要があります。
エゴの基本的な仕組みを理解しないと認識もできず、エゴに操られ続けることになります。
また「エゴの認識」そのものが目覚める方法の一つといえます。
自分のなかの無意識に「意識という光」を当てるのです。
人間に固有の機能不全
さまざまな宗教で言われていることとして、ほとんどの人間の「ふつうの」精神状態には、狂気と呼べるような機能不全があります。
ブッダによれば、ふつうの人間の心は苦や不満、惨めさを生み出す特徴があるとのこと。
キリスト教では「原罪」という言葉で表現されます。ここでいう罪とは人間の「的外れな生き方」を意味します。
人類は知的だけど、その知性は狂気を帯びています。
これまでの歴史で、集団的狂気が戦争や虐殺、環境破壊を引き起こしてきました。
自分と全体のつながりを理解しないがために、自滅につながる行動を続けているのです。
「恐怖や欲望が原因だから、それらを捨てなさい」と言われても、機能不全の根源に取り組まない限りうまくいかないでしょう。
すでに自分のなかにある「善」を発見し、それを引き出すには、意識に根本的な変化が起こる必要があります。
新しい意識
人間の意識を根源的に変化させられる可能性があります。これは「悟り」「解放」「目覚め」などといった言葉で表現されます。
自らの機能不全、狂気を認識できたことが、人類にとっての最大の成果といえます。
最初に見抜いたのはたぶん2600年前のインドにいたゴータマ・シッダルタです。そして同時期に中国にいた老子。
彼らの教えはシンプルで力強かったのですが、歴史の流れにおいて歪められたり、解釈を間違えられたりすることもありました。
人々をまとめるための宗教が、むしろ分断する力となってしまったのです。
しかしいつの時代も、「宗教の本質」を自らの内側に発見する人々が少数ながら存在しました。
ただしそういう人たちは、多数派に影響を与えられるほどには増えませんでした。
スピリチュアリティと宗教
新しいスピリチュアリティ(意識の変容)は、たいてい制度化された宗教の外で起こります。
伝統的な宗教の信者のなかにも、こだわりを捨てて「形を超えた向こう側」を発見する人たちが増えてきました。
その人たちは「何を信じるか」ではなく「どんな意識状態か」が大切だということに気づいています。
一部の宗教組織は「集団的エゴ」となり、自分たちの主義主張に頑固にしがみつきます。
しかしエゴは解体される運命にあり、内側から崩れていくことになります。
変容の緊急性
いまの人類に突きつけられた課題は、生存を脅かす「根源的な危機」に対処することです。
この危機とは「人間のエゴイスティックな思考」です。
人類は意識を進化させるか、死滅していくかのどちらかに迫られています。
新しい意識の核心は思考の枠を超えることにあります。
「思考よりもはるかに広い次元」が自分自身のなかにあると気づく能力です。
自分とは「思考する自分」を見ている者。
そのことに気づくと深い解放感を味わうことになります。
(次回に続く)『ニューアース』ちょっとずつ要約 #02
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