2018年公開映画『響-HIBIKI-』
この記事は、まだ観ていない人でも安心して読める内容になっています。
文芸界を騒がせるほどの小説を書いたのは、15才の女子高生だったという話。
この映画を観ると、小説あるいは文章を書くという行為に希望を持てます。
数年前に僕は原作マンガを読んでかなり記憶に残っていて、せっかくだから映画版も、というのが観た動機です。
主演女優の平手友梨奈さんのことはほとんど知らなかったけど、マンガのキャラそのまんまで感動しました。
予備知識なしでこの映画を観る場合、少しだけ予習をしておいたほうが入り込めるかと思います。
謎の新人が現れる
ある日、新人賞の応募作として手書きの原稿が出版社に届きました。
データで応募するという決まりだったので、その原稿は誰にも読まれず廃棄されそうになるのですが、編集者の花井(北川景子)がなんとなく中身を確認します。
その『お伽の庭』という題名の手書き小説を読んだ花井は、同僚と協力してその日のうちにパソコンに打ち直すのです。
小説の作者は「鮎喰 響 あくいひびき」であり、住所も年齢とわからない状態でした。
まず文芸部で一悶着
響は女子高生になったばかりで、幼馴染の涼太郎とともに文芸部への入部を希望します。
そこでケンカを売ってきた文芸部員のヤンキー(笠松将)の小指を折るなど、自分の考えを曲げない性格。
部長でもあるリカ(アヤカ・ウィルソン)とは読書仲間として打ち解けます。
リカの父親は有名作家の祖父江秋人(吉田栄作)で、彼女自身も小説を書いています。
でも、文芸部の課題として書いてもらった響の作品を読み、確固とした才能を目の当たりにするのでした。
魅力的な脇役作家陣
同時並行でときどき出てくるのが浮かばれない作家、山本(小栗旬)。
これまで彼の作品が何度も芥川賞の候補にはなるものの、結局選ばれず、作家としての人生に挫折しそうになっています。
ちなみに、この映画に脇役として出てくる作家陣は全員かなりいい感じです。
過去の栄光の余韻で生きている芥川賞作家・鬼島(北村有起哉)や、新人賞の田中(柳楽優弥)など。
みんな、響と出会い彼女に大きな影響を受けることになります。
普通の女子高生としても
破天荒な性格ながら、響はごく普通の女子高生らしさも見せます。
幼馴染の涼太郎とたわむれる姿や、動物園ではしゃぐ姿などが、自然体で魅力的です。
響はまた、リカに対しても彼女が有名作家の娘であるとか関係なく、一人の友人として対等に付き合うわけです。
だからこそ言うべきことをはっきりと言い、こちら側としては少し心が痛い部分があるけれどやはり観ていてスッキリしました。
彼女をできる限り理解し、守ろうとする編集者、花井の姿勢にも感心します。
終わりに
響は「才能がある側」の人間です。
ただしこの映画は「才能がない側」の人間としての視点もしっかりと描かれています。
彼女の台詞ひとつひとつが名言であり、ない側の人間の心に刺さるものばかりですが、それがまた痛快でもありました。
『お伽の庭』、実物が存在するなら読んでみたいものです。
以上、原作マンガを読んだことがあるにも人もない人にも、主演の平手友梨奈さんをよく知っている人にもそうでない人にも、僕は全員にこの映画をおすすめできます。
AmazonプライムやU-NEXTなどを利用してぜひ観てみてください。
コメント
私は死なないわよ。
まだ、傑作を書いた覚えはない。
これ、痺れますね〜♪
何度も見たい映画です。
ではでは…
saltcreekさん >
返事遅れました。
ほんとに面白い映画だったので、機会があったらもういちど観たいです。