前回の記事からの続きです。
今回も文章構成についての話です。
著者の古賀氏は、文章構成を映像表現やカメラワークにたとえて、わかりやすく説明してくれます。
特に導入部分、ブログ記事でいえばまさにこのリード文の部分は、映画の予告編が大いに参考になります。
ここまで読んでつまらなければ、読者はこの先を読まずに別のページに飛んでしまうのです。
日常文だからこそ導入が大切
前回で「起承転結」や「序論・本論・結論」の話をしました。
でもそれは小説や、長い論文でしか使われない枠組みだから、日常文ではあまり関係ないのではないかと思う人もいるかもしれません。
(ちなみに日常文とは、原稿用紙5枚すなわち2000文字以下に収まるコンパクトな文章を指します。僕のブログ1記事もほぼ日常文)
日常文は構成などを気にせず、どんな順番で書いてもよいのでしょうか?
その答えは大きくはイエス、部分的にノーです。
確かに起承転結などはあまり気にする必要はないけれど、「導入部分」の書き方はとても大切になります。
というのも、読者には「読まない」という選択肢が常にあるからです。
人を映画館に呼ぶ「予告編」
映画の場合、観客は先にお金を払って劇場の椅子に座ってしまっているので、冒頭の5分くらいがつまらなくても、よほどのことがない限り席を立ちません。
しかしそもそも、観客はなぜその映画を観ることに決めたのでしょうか。
理由の多くは「予告編」が面白かったからです。
予告編は映画における、最強の導入ツールとなっています。
数十秒から数分に収まるそれは、一個の作品といえるくらいのクオリティで作られ、観客の期待をあおるわけです。
文章の導入も、この予告編と同じものだと考えましょう。
予告編の基本3パターン
予告編としての導入は、大きく3パターンに分けることができます。
1つは「インパクト優先型」。
あえて冒頭に、読者が興味をひくような結論を持ってくるやり方です。
映画の予告編でいえば、とっておきの決め台詞を見せつつも、完全なネタバレを避ける手法と同じになります。
続いて「寸止め型」。
ホラー映画の予告編でよく使われる、あえて見せないという手法です。
著者がひそかに「タイガーマスク理論」と呼んでいるもので、人は正体を隠されると、是が非でもその中身を知りたくなるのです。
最後に、オーソドックスな「Q&A型」。
映画よりも、ドキュメンタリーなど教養系番組の予告編によく使われる手法です。
導入部分で質問と答えをダイジェストに紹介して、読者に対してなるべく早く情報を提供してしまうのです。
詳細を知りたい読者は続きを読むことになります。
僕のブログ記事のリード文は、この「Q&A型」が多いのかもしれません。
(しかしながら、正直そこまでリード文を大切に思っていなかったところもあり、要約しながら反省しています)
(次回予告)マトリョーシカに学ぶ論理展開
文章に一貫した論理性を持たせることが大切ですが、そもそも「論理的である」とは?
それは「論が理にかなっている」ということであり、自らの主張がたしかな理由によって裏打ちされている、ということです。
論理的な文章は、入れ子構造になっている「マトリョーシカ人形」に似ています。
大きな人形から順に「主張・理由・事実」の3層構造になるのです。
大きな主張の中にはちゃんと理由が入っていて、理由の中にはそれを支える事実が入っている。
この3層構造のマトリョーシカをどのように作っていくかは、次回の記事で説明していきます。
【記事09に続く】
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