【システマ小説】半分ギャグなんだけど、ちょっと生きるのが楽になる

読書
システマ

ロシア特殊部隊に伝わる「システマ」。自分、格闘技などには肉体的にも精神的にも疎いけれど、システマにはなぜかとても心が惹かれます。

そもそも格闘技という枠におさまるのか、という話です。戦場においていかに敵を倒すか、ではなく、いかに自分自身や仲間を生かすかが重視されている感じがします。

今回紹介する本『人生は楽しいかい?』は僕がオーディブル版を何度も聴いている、物語形式で書かれたシステマの入門書です。

会社員の若者が、ロシア人のシステマ教官に出会い、一見奇妙に思える指令をこなしていくうちに、自分の中に眠っていた能力を目覚めさせていくようなストーリー。

半分くらいはギャグですが、これもシステマ本来の雰囲気を表現するための意図的なものらしい。格闘技とかに興味がない人ほど読んでほしい(聴いてほしい)本です。

システマ教官が課す指令

冷凍食品会社の営業として働く主人公は、優秀な同僚たちに引け目を感じながら、さえない生活を送っていました。

ある日、電車でチンピラに絡まれ窮地のところ、居合わせた謎の小太りのロシア人(関西弁)に助けられるも、不甲斐なさから本気で自分を変えたいと思うようになります。

後日、偶然にもそのロシア人と再会し、彼の名はゲオルギー・システマスキー(通称ゲオ)、某IT企業の顧問という肩書きで「システマ」を教えているとのこと。

主人公とゲオは意気投合し、ゲオに美味しいラーメンをおごるという条件で、「よかったことに目を向ける」「ゆっくりやる」「知る」といった指令をゲオから受け、自分なりに実践していくのでした。

システマの呼吸

受けた指令に試行錯誤しつつも、着実に手応えを感じながら、主人公は定期的にゲオに会うようになります。

そして4つ目の指令として、システマの奥義を伝授してもらうということだったので、身構えていたところそれは「呼吸」とのこと。

特別なテクニックがいるわけでもなく、鼻からゆっくり吸い、口をすぼめてフーっと吐く感じで、腹式とか胸式とかは気にしなくていいです。

システマの呼吸により、平常心を取り戻し、冷静な判断などができるようになります。

某芸人さんじゃないけど、恐怖心や怒りなどネガティブな感情を呼吸でコントロールすることによって、痛みも制御できるとか。

なぜ呼吸がそんなにすごいのか

システマとか瞑想とか、鬼滅の刃とかエレベーターの呼吸とか、呼吸がすごく重視されるけれど、そもそもなぜ呼吸なのかについて。

例えば、人間の身体機能を挙げていくと、心臓の鼓動、その他臓器の働き、体温調整、ケガや不調からの回復などいろいろあります。

今挙げたものと、呼吸との共通点は「機能しないと死んでしまう」ということ。

ただし、大きな違いが1つあります。「自分で動かしたり止めたりできるか否か」です。

心臓の動きは自分で制御できませんが、呼吸ならできます。生死に関わるようなものを自分の意思で制御できる機能なんて、呼吸くらいのものです。

そして、呼吸と精神状態は相互に作用させることができます。焦ると呼吸が浅くなりますが、そこで意図的に呼吸をゆったりと深くすれば、心も安定させられるわけです。

システマで本来の力を取り戻す

主人公は呼吸を習った後も、自然体の姿勢を保つことや、動きを止めないことの大切さを学んでいきます。

物語の内容としても自分はとても好きで、仕事でピンチになったときでも主人公はゲオに教わったことを活かして乗り越えていきます。

最初、凡人そのものに見えた主人公も、淡々とシステマの教えをこなすうちに、ちょっとずつ潜在能力を発揮していく様子は結構リアルで、自分も読むたびに感動します。

以上、読んで損はないのでぜひ。

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