エックハルト・トール著『ニュー・アース』。
前回の記事では6章の後半部分を要約しました。
今回から7章に入ります。1節〜3節までを要約していきます。
自分は何者であるか
「汝自身を知れ」。これはデルフォイのアポロ神殿の入り口に掲げられていた言葉です。
当時の人々は預言を聞きに神殿を訪れていたといいますが、この「汝自身を知れ」ほど深い真実を指し示す言葉はないでしょう。
質問をする前にまず、あなたの人生における基本的な問題、すなわち「私は何者か」を問わなければならないのです。
無意識な人々はすぐこの質問に答えようとします。
名前は○○で、職業は何々で、どこそこに住んでいて、などと自分が同一化している事項を並べるだけです。
自分自身を知るとは、ある種の考え方や信念の受け売りをするよりも、はるかに奥深いことです。
心を取り囲んでうごめいているさまざまな思考とは何の関係もありません。
自分自身を知るとは、心のなかで迷子になる代わりに、「いまに在る」ことにしっかりと根をおろすことなのです。
あなたが考える自分
「自分が何に動揺し、あわてるか」は「自分をどれくらい知ってるか」の物差しとして使えます。
小さなことで動揺するなら、あなたが考えているあなたもその通り小さいのです。
(つきつめれば物事はすべて小さいといえるのだけれど)
スピリチュアルに関する知識があり、「私が望むのは平安だけだ」と言う人がいるとします。
でも例えば悪い知らせを聞いたり、金銭的なトラブルに巻き込まれたり、自分のせいにされたりしたらすぐ自己防衛に入ります。
結局は心の平安以上に大事なものがあったわけです。
これらは「小さな私」にとっては重要ですが、不死の霊(スピリット)にとってはささいなことです。
挑戦的な人々や状況に直面しても反応せず、静かに観察しましょう。
抵抗せず、状況を受け入れ、状況とひとつになればいいのです。
そうすればほんとうのあなた(意識)が答えを出してくれます。
世界は必ず、自分にとって大事なことをつきつけてきます。
だから「自分が何者か」についてずっと誤解し続けているわけにはいかないのです。
無意識の強い人たちは、他者への投影を通じて自分のエゴを経験します。
相手のなかの何かに反応するときは、自分にも同じものがあるからです。
そこに気づけば、自分自身のエゴが見えてきます。
自分のなかのエゴに気づくと、自分が「何者ではないか」がわかります。
あなたはすでにあなたです。それを認識すれば、埋もれていたほんとうのあなたが、世界に向かって輝きだします。
豊かさ
自分を何者だと考えるかは、他人にどう扱われるかとも密接に関連します。
他人から不当に扱われているように思うのは「小さな私」です。
自分には与えるものが何もなく、人々や世界は物惜しみをして何も与えてくれないと考えています。
自分が考える自分に「欠乏」という考え方がしみつくと、いつも欠乏を経験することになります。
この「欠乏」とはお金、愛、承認などすべてにおいてです。
すべての豊かさの基本は、すでにある豊かさを認めることです。
賛辞、感謝、援助、愛情をこめた気遣い等々を、自分から他人に与えてみてください。
これらを数週間ほど試してみて、結果を観察するのです。
そんな持ち合わせなどないと思うなら、あるフリをすれば良いのです。
世界が物惜しみをして与えてくれないと思っているものは、あなたがすでにもっているのに出力していないものです。
それどころか、もっていることを知らないものです。
すべての豊かさの源泉は、あなたのなかにあります。
何も所有していなくても豊かさは感じられるし、いつも豊かさを感じていると、豊かさは向こうからやってきます。
(次の記事に続く)
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