古賀史健著『文章講義』要約#19 もったいないと思ってはいけない

読書

20歳の自分に受けさせたい文章講義

前回の記事からの続きです。

今回からは、文章を書き終えてからの編集作業がテーマとなります。

まず禁句なのは「もったいない」という言葉。

せっかく書いた内容だとしても、「なんか違うな」と感じた場合は削るべきです。

また、よく言われることでもある「一文をなるべく短くする」べき理由についても解説します。

そして、書いた文章を自分で読み返すときに確認すべきなのは、読んで映像が思い浮かぶかどうかです。

それぞれについて詳しく説明していきます。

削るべきところは惜しまず削る

1時間前に書いた文章を読み返す場合、それは1時間前の自分と対話することだと思ってください。

「いまの自分」と「過去の自分」が対話していると考えることで、的確な推敲ができるようになります。

また冒頭でも言ったように、書いた文章を削る際、「もったいない」とは考えないようにしましょう。

「せっかく調べて書いたのだから残しておきたい」という気持ちは、僕にも痛いほどわかります。

でも第一に考えるべきは、読者にとって読みやすく、面白い内容になるかどうかです。

そして、文章を書いていて行き詰まるときは、たいてい「もったいないから残した文」が紛れていたりします。

長い文は切り分けた方がいい

文章を削るのと同時に「切る」ことも考えていきましょう。

少しでも長い文章を見つけたら、さっさと短い文章に切り分けたほうがよいのです。

理由は大きく3つあります。

  1. リズムをよくする
  2. 意味を通りやすくする
  3. 読者の不安をやわらげる

1つ目については理由を説明するまでもなく、短い文のほうがリズムはよくなります。

読点でつなげていくことはできるものの、原則として2つまでとしておくのがよいです。

「が」は便利だけど、なるべく使わない

2つ目の「意味を通りやすくする」にあたって、以下の例文を見比べてください。

「がんばって勉強したのだが、思ったほど得点がとれなかった」

「がんばって勉強したのだが、思ったより高得点がとれた」

両方とも意味は通るものの、「が」の使い方が逆です。

後者のほうは、会話する場面でよく使いがちですが、文章にすると少し違和感が残ります。

いっそのこと文章を分けて「がんばって勉強した。おかげで……」としたほうが意味が通りやすくなります。

長々と続く日本語は読んでいて不安になる

3つ目である「読者の不安をやわらげる」について考えていきます。

英語などでは何かを否定する場合、文章の早い段階で「NOT」といった言葉が入ります。

なので、その一文が長くなっても読者は安心して読めます。

しかし日本語の場合、否定する言葉は文法的に最後に入るので、一文が長くなるほど読者は不安になるです。

「文章を短くしたほうが読みやすい」ということはよく言われます。

逆に文章が長いとどんな不都合が生じるのか、ここでしっかりと理解しておきましょう。

読み返す際は「図解・映像化」が可能かチェック

自分の書いた文章がどれだけ論理的であるか、簡単にチェックする方法を紹介します。

読み返しながら「この文章を図に描き起こせるか?」を考えることです。

もしも支離滅裂な文章だった場合、うまく図にすることができません。

この「図解」という作業は、書く前だけでなく、書いた後でも役に立つのです。

そして、自分の文章を読み返したときに、なにか「映像」が浮かぶどうか確認してみてください。

そうすることで、細部がどれだけ描写できているかをチェックすることができます。

「面倒な細部」の描写によってうまく映像化できれば、無粋な感想などを書く必要がなくなるのです。

記事20に続く

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