『嫌われる勇気』で有名なライター、古賀史建(こがふみたけ)氏による文章講義の書籍を紹介します。
文章の書き方の本としては屈指のわかりやすさと、役に立つ内容を兼ね備えているので、エッセンスをできるだけ伝えていきたいと思います。
複数の記事に渡って少しずつ要約していきます。
「話せるのに書けない」を解消
本書は文章をうまくするというよりも「話せるのに書けない!」を解消することを目的としています。
話し言葉と書き言葉には、思っている以上にギャップがあります。
話すことを「テレビ」に例えるなら、書くことは「新聞」です。
新聞はテレビのように顔の表情や身振りなどが道具が使えず、文字だけで勝負するから難しく、技術が必要なのです。
本書では著者がライターとして蓄積してきた「話し言葉を書き言葉に変換する」ためのノウハウを紹介していきます。
著者である古賀氏は年間平均10冊以上の書籍作りに、10年間以上も携わってきました。
中でもインタビュー集である『16歳の教科書』シリーズはベストセラーになりました。
(そして本書の後に書かれたアドラー心理学の本『嫌われる勇気』が大ヒットするわけです)
なぜ文章の授業なのか
学校で書かされた作文や読書感想文のせいで、文章に苦手意識が根付いてしまっている人が多いはずです。
「書く」という行為の意義や、具体的な技法まで踏み込んだ授業を受けていないから文章嫌いになるのです。
国語の授業も「名作の品評会」ばかりで、読解力はついても肝心の書く力がなかなかつきません。
もっと文章の書き方・組み立て方を体系的に教わる授業が必要なのです。
(学校の作文など、書き方指導ではなく、形を変えた生活指導にすぎないと著者は言います)
書くこととは、考えることである
著者が伝えたいのは、道徳でも生活指導でもない、自分の思いを「言葉だけ」で伝える技術です。
書く技術を身につけるべき理由は、それがそのまま「考える技術」につながるからです。
例えば悩みがあるとき、頭だけで考えても堂々巡りになりがちです。
そんなとき悩みを文章に書き起こしていくことで、意外な答えが見つかるかもしれません。
書く技術が身につけば、ものの見方が変わり、世界を見る目も変わってくるのです。
頭の中の「ぐるぐる」
- 文章を書こうとすると、固まってしまう
- 自分の気持ちをうまく文章にすることができない
この2つの問題に多くの人がぶつかっています。
なんとか書けたとしても「自分の思い」と「書き上げた文章」との間に、途方もないギャップを感じるかもしれません。
僕たちが文章を書けないのは「書こうとするから」。
頭のなかを駆けめぐるたくさんの思いのことを、著者は「ぐるぐる」と呼んでいます。
思ったことを書けと言われても、頭のなかは言葉以前の「ぐるぐる」だから言葉にできないのです。
伝わる言葉に「翻訳」する
文章としてアウトプットするためには、頭のなかの「ぐるぐる」を、伝わる言葉に翻訳すればいいのです。
著者が「翻訳」という言葉に行き着いたのは、ある数学者を取材したのがきっかけです。
数学嫌いだった著者でしたが、その先生は身振り手振りを交えて、いかに数学という学問が面白いかを伝えてくれました。
おかげで著者にもすべてを理解できたといいます。
その話をを一般読者に伝えるためには、数学者用語をひとつも使ってはいけないと考え、そのときに「翻訳」という言葉が浮かんだわけです。
(素人が専門用語を聞いた瞬間に拒絶反応を起こすんですね、わかります)
著者には数学な苦手な人の気持ちも理解できたからこそ、わかりやすい文章を書けたのです。
【記事02に続く】
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